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海外で腕時計を買うと、持ち帰りにいくら乗るのか|関税はかからない、かかるのは消費税だけ

空港の税関窓口。海外で買った腕時計を持ち帰るときの税金を整理した記事のアイキャッチ Watch|時計
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「海外で買うと関税がかかるから、結局そんなに変わらない」。よく見る説明ですが、腕時計に関税はかかりません。

税関が自分のサイトに、関税無税品の一覧として腕時計を名指しで載せています。しかも課税価格の出し方に独特のルールがあって、そこを知らないと計算が2倍近くずれます。現地の相場は扱えませんが、持ち帰るときにいくら乗るのかは、税関の資料だけで正確に出せました。

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結論から

  • 腕時計は関税無税品です。かかるのは消費税と地方消費税(合計10%)だけ
  • 課税価格は、現地で払った金額そのままではありません。0.6を掛けた額が課税価格になります
  • したがって持ち帰りに乗るのは、購入価格のおよそ6%(0.6 × 10%)
  • ただし免税枠には落とし穴があって、1個で20万円を超えると、超えた分ではなく全額が課税対象になります
  • 日本の免税店は使えません。 消費税法上、免税で買えるのは非居住者だけです

「関税がかかる」は、腕時計については間違い

税関「税額の計算方法」に、こう書かれています。

腕時計、貴金属製の万年筆、貴石(裸石)、ゴルフクラブ、書画、彫刻、パソコンなどの関税無税品は、課税価格に対して消費税及び地方消費税(合計で10%(軽減税率が適用される品物については、合計で8%))のみが課税されます。

「腕時計」が先頭に名指しで挙がっています。 検索して出てくる記事の中には「海外で買うと関税が…」と書いているものがありますが、腕時計に限って言えばそこは正しくありません。

ちなみに同じページの表では、衣類やハンドバッグには簡易税率15%がかかります。時計とバッグで扱いが違うので、「ブランド品は関税がかかる」とまとめてしまうと合わなくなります。

課税価格は、払った金額の6割で計算される

ここが一番効くところでした。同じページの冒頭にこうあります。

通常、携帯品や別送品として海外から本邦に入国する際に持ち込まれるお土産等の場合は、税関では、海外での小売価格(購入価格)に0.6を乗じた価格を課税価格とし、この課税価格を基に税率を乗じて税額を決定します。

現地で100万円払ったなら、課税価格は60万円です。そこに消費税がかかります。

税関自身が挙げている計算例に、ちょうど腕時計があります。海外市価15万円の腕時計1個のケースです。

手順 計算 結果
課税価格を出す 150,000円 × 0.6 90,000円
消費税 90,000円 × 7.8% 7,000円
地方消費税 7,000円 × 22/78 1,900円
合計 8,900円

15万円の時計に対して8,900円。購入価格に対して約5.9%です。消費税は10%なのに、実際の負担が6%弱で収まるのは、課税価格が0.6倍になっているからでした。

自分の金額で計算するには

式は単純です。

> 持ち帰りに乗る額 = 現地で払った金額 × 0.6 × 10%

つまり現地価格のおよそ6%。100万円の時計なら約6万円、300万円なら約18万円です。

正確には消費税7.8%と地方消費税(消費税額の22/78)に分かれますが、合わせれば10%なので、ざっくり見るぶんには上の式で足ります。

なお「海外市価」の定義は税関の免税範囲のページにあって、外国における通常の小売購入価格のこととされています。円貨に直すときは定められた公示レートが使われるので、自分が両替したときのレートとは一致しません。

同じ買い物でも、品目で税率がまったく違う

税関の計算例は親切で、複数の品物をまとめて買ったケースを1つずつ計算してくれています。そこから時計以外も抜き出すと、同じ日に同じ店で買っても、品目で扱いが変わるのがはっきり見えます。

品物(海外市価) 課税価格 適用 税額
腕時計 15万円 90,000円 関税無税 → 消費税・地方消費税10% 8,900円
指輪 12万円 72,000円 簡易税率15% 10,800円
ハンドバッグ 8万円 48,000円 簡易税率15% 7,200円
衣類 5万円 30,000円 簡易税率15% 4,500円

12万円の指輪のほうが、15万円の腕時計より税額が高いという逆転が起きています。時計が無税品で、指輪が「その他の品物」として15%の簡易税率に入るからです。

ややこしいのは、貴石(裸石)は無税品の側に入っていることです。石のままなら無税、指輪に仕立てられていれば15%。ジュエリーを一緒に見ている人にとっては、ここは知っておいて損がないところでした。

簡易税率が使えなくなる線もある

税関は、簡易税率を適用できないものとして「1個(1組)の課税価格が10万円を超えるもの」を挙げています。この場合は簡易税率ではなく、一般の関税率で品目ごとに計算されます。

もっとも、腕時計についてはこの線を気にする必要がありません。 そもそも関税無税なので、簡易税率ではなく消費税だけという扱い(税関の分類でいう(3))になります。ジュエリーを買うときには効いてきます。

免税枠20万円には、時計だと引っかかる罠がある

「20万円まで免税」と覚えている人が多いところですが、条件の書き方が独特です。同じページから引きます。

合計額が20万円を超える場合には、20万円以内におさまる品物が免税になり、その残りの品物に課税されます。
1個で20万円を超える品物、例えば、25万円のバッグは25万円の全額について課税されます。

「超えた分だけ課税」ではありません。 25万円のバッグなら、20万円を引いた5万円ではなく、25万円の全額が課税対象になります。

高級時計はまず1個で20万円を超えるので、免税枠は実質的に使えないと考えたほうが早いです。上の6%は、そのまま全額にかかります。

一方で、枠が小さいものには救いもあって、1品目ごとの海外市価の合計額が1万円以下のものは原則として免税とされています。ストラップや工具のような小物なら、ここに収まることがあります。

6か月を過ぎると、この扱いにならない

免税範囲が適用されるのは、携帯品あるいは別送品(帰国後6か月以内に輸入するものに限る)で、個人的に使用すると認められるものに限られます。

現地で受け取れずに後から送ってもらう場合、この6か月が効いてきます。入荷を待つ形になるなら、そこは先に確認しておいたほうがいい部分でした。

日本の免税店では買えない

`ロレックス 免税店 日本` という検索がそれなりにあります。ここははっきりしていて、日本国内の免税店で消費税を抜いて買えるのは非居住者だけです。

消費税法の8条1項が、免税で買える人をこう定義しています。

免税購入対象者(外国為替及び外国貿易法第六条第一項第六号(定義)に規定する非居住者であつて、出入国管理及び難民認定法第十四条から第十八条まで(上陸の許可)に規定する上陸の許可を受けて在留する者、同法別表第一の一の表の外交若しくは公用の在留資格又は同法別表第一の三の表の短期滞在の在留資格をもつて在留する者その他政令で定める者をいう。)

条文の名前が「輸出物品販売場」であることからも分かるように、国外へ持ち出すことが前提の制度です。日本に住んでいて日本で使うなら、対象になりません。

海外の空港の免税店で買う場合は、そこは現地の制度なので話が別です。ただしその場合も、持ち帰った時点で日本の消費税の対象になります。現地で消費税を抜いても、日本で6%が乗る、という順番になります。

現地で受け取れないときの「別送品」

現地に在庫が無くて後から送ってもらう場合、扱いが別送品になります。免税範囲は携帯品と別送品を合算して判定され、しかも帰国後6か月以内に輸入するものに限られます。

手続きとしては、入国時に携帯品・別送品申告書を提出することになります。税関は「日本に入国(帰国)する全ての方に提出していただいております」としていて、これは免税範囲に収まるかどうかとは関係なく全員が対象です。

いまはVisit Japan Webでの電子申告が推奨されていて、二次元コードを作っておくと電子申告ゲートを通れます。なお税関申告アプリは使えなくなっているので、古い記事を見て準備すると空港で戸惑います。

入国のときに別送品があることを申告しておかないと、後から送った荷物が免税範囲の判定に乗りません。 現地で「後日発送」と言われた時点で、この段取りが発生すると思っておいたほうがいいです。

買わなくても関係がある — 着けて出国するときの手続き

ここまで海外で買う話でしたが、日本で買った時計を着けて海外に行くときにも、税関の手続きがあります。 これを知らずに出ると、帰りに面倒なことになります。

税関「外国製品を持ち出す場合の手続」から、そのまま引きます。

海外旅行の際に現在使用している外国製品、例えば、時計、ネックレス、指輪などを外国に持出す場合は、「外国製品持出し届」に持出す物の品名、数量、特徴などを記入し、現品を添えて税関の確認を受けて下さい。用紙は税関にあります。

この確認を事前に受けてない場合は、帰国時に外国で購入したものと区別できずに課税されることがあります。

「外国製品」なので、スイス製の時計はまるごと該当します。 日本で正規店から買った1本でも、税関から見れば外国で作られた品物です。買った国の話ではなく、作られた国の話でした。

手順としてはこうなります。

1. 出国のとき、空港の税関に現品を持っていく(用紙は税関に置いてあります)

2. 品名・数量・特徴を書いて、税関の確認を受ける

3. スーツケースに入れて預けるなら、航空会社に預ける前に確認を受ける

4. 受け取った持出し届は、帰国のときに税関に提出するので失くさない

3番目が抜けやすいところです。預けてしまってからでは確認できません。

出国のときに時計を着けていく人へ

高額な外国製の時計を着けて出国する予定があるなら、チェックインの前に税関に寄る時間を見ておくと安全です。根拠は関税定率法14条・関税法基本通達67-2-8・関税定率法基本通達14-15。手続き自体は届出1通で、費用はかかりません。

この手続きは、買う話とは無関係に効いてきます。税関の側からは、その1本を日本で買ったのか現地で買ったのかを見分けられません。 区別する材料を出しておくのは、持っている側の仕事でした。19本を正規店で買ってきて、出国側にも届出があるというのは調べて初めて知ったところです。

それで、海外は安いのか

ここが正直に書かなければいけないところで、答えは出せませんでした。

理由は単純で、各国の販売価格を一次情報で確認できないからです。ブランドの公式サイトは自動取得を弾いていて、価格表が取れません。並行店や個人ブログの価格を並べても、それは裏の取れていない数字です。書かないほうがましだと判断しました。

書けるのは、比べ方だけです。

1. 現地の価格を、その場のレートではなく円で押さえる

2. そこに 6% を乗せる(これが持ち帰りにかかる分)

3. 日本の価格と比べる

4. 差額から、渡航費と、保証の差を引く

4番目が抜けがちなところでした。保証は買った国だけ、という運用があるので、価格差が数%なら保証の差で簡単にひっくり返ります。 ここは並行輸入の記事のほうで、業界団体の資料まで戻って整理しました。

申告しない、という選択について

書いておきますが、この記事は申告する前提で書いています。

携帯品は入国時に携帯品・別送品申告書を出すことになっていて、免税範囲を超えるものはそこで申告します。6%を惜しんで申告しない話は、そもそも損得の計算に乗せる種類のものではありません。

古物商として二次流通の側も見ていると、書類が揃っていない個体が後々どう扱われるかは分かります。売るときに効いてくるのは保証書と箱で、そこは別記事に書きました。

売るときの税とは、別の税です

ここで扱ったのは買って持ち込むときの消費税です。手放すときにかかるのは所得税で、判断の分かれ目もまったく違いました(金額の前に、まず素材で線が引かれます)。混ぜて考えると噛み合わなくなるので、そちらは条文まで戻って別に整理しています。

よくある質問

免税店で買えば、日本でも税金はかからないのですか

いいえ。海外の免税店で現地の税を抜いて買っても、日本に持ち込む時点で日本の消費税の対象になります。免税店で買ったこと自体は、日本側の課税を止める理由になりません。

身につけて帰れば申告しなくていいのですか

身につけているかどうかは関係ありません。 免税の対象になるのは携帯品または別送品のうち個人的に使用すると認められるもので、その範囲を超えれば課税されます。使用中かどうかで枠が変わる仕組みにはなっていません。

中古で買った場合も同じですか

課税価格の考え方は同じで、海外での小売購入価格に0.6を掛けます。腕時計が関税無税品であることも変わりません。ただし個体によっては模倣品の疑いで止まることがあり、そこは並行輸入の記事で扱っています。

20万円ちょうどならどうなりますか

免税範囲は「20万円」までなので、その枠に収まる品物は免税になります。問題になるのは1個で20万円を超えたときで、その場合は超過分ではなく全額が課税対象です。高級時計はほぼここに入ります。

消費税7.8%と地方消費税22/78は、結局いくらですか

合わせて10%です。税関の計算例では、課税価格90,000円に対して消費税7,000円・地方消費税1,900円で合計8,900円になっています。自分で見積もるときは10%で計算して構いません。

まとめ

  • 腕時計は関税無税品。かかるのは消費税と地方消費税の合計10%だけ
  • 課税価格は購入価格 × 0.6。だから実際の負担は購入価格の約6%
  • 税関の計算例では、海外市価15万円の腕時計で8,900円
  • 1個で20万円を超えると、超過分ではなく全額が課税対象。時計はほぼここに入る
  • 携帯品・別送品は帰国後6か月以内、個人的に使用すると認められるものに限る
  • 日本の免税店は非居住者向け(消費税法8条)。居住者は使えない
  • 現地がいくら安いかは公式価格が取れないので出せない。6%を乗せて自分で比べる
  • 🔴 日本で買った時計を着けて出国するときも手続きがある。 「外国製品持出し届」を出しておかないと、

帰国時に外国で購入したものと区別できずに課税されることがある

海外で買うかどうかを価格だけで決めると、たいてい保証のところで後悔します。6%は計算できますが、保証の差は金額に直せません。

※ 本記事は情報提供を目的としており、特定の店舗・ブランド・購入経路を勧めるものではありません。税額の計算方法・免税範囲・適用される税率は、品目や個別の事情により異なる場合があり、制度も改正されます。記載内容は2026年8月時点で税関および国税庁・e-Gov法令検索に公開されている情報に基づくものです。実際の課税関係については、税関相談官または税務署・税理士にご確認ください。