いま乗っている G400d は全高1,975mmあります。セダンに比べれば、後ろのナンバープレートが付く位置もそのぶん高い。
これ、ナンバープレートの取付け角度の基準では不利になりうる側でした。後面のプレートは、上端が地上1.2mを超えるかどうかで許される角度の範囲が変わり、超えている方が範囲が狭いからです。
もっとも、そもそもこの基準が自分の車に効くのかどうかが先です。そしてその判定は、年式でも、買った日でもありませんでした。
3行でいうと
先に結論
① 角度・フレーム・ボルトカバーの数値基準が効くのは令和3年10月1日以降に初めて登録・検査・使用の届出をした自動車だけ
② 判定に使うのは初度登録年月。年式でも購入日でも乗り始めた日でもない
③ ただしカバー・シール・汚れ・回転・折り返しの禁止は年式に関係なく全車。ここを「新基準」と一緒くたにすると読み違える
後ろのナンバーは、上端が地上1.2mを超えると基準が狭くなる
先に数値から出します。取付け角度の基準は、前面と後面でまったく別の値です。しかも後面は、プレート上端の地上高1.2mでさらに2つに割れます。
| 項目 | 前面 | 後面(上端1.2m以下) | 後面(上端1.2m超) | 二輪の後面 |
|---|---|---|---|---|
| 上下向き | 上向き10°〜下向き10° | 上向き45°〜下向き5° | 上向き25°〜下向き15° | 上向き40°〜下向き15° |
| 左右向き | 左向き10°〜左右向き0° | 左向き5°〜左右向き0° | 左向き5°〜左右向き0° | 左右向き0° |
| 回転 | 水平 | 水平 | 水平 | 水平 |
出典は国土交通省の「車のナンバープレートは見やすく表示!」(PDF)に載っている表です。
後面の上端が1.2m以下なら上向き45°まで許されるのに、1.2mを超えると上向き25°まで。20°ぶん狭くなります。下向き側は逆に5°→15°と広がりますが、リアゲートに付いているプレートが下を向いていることはあまりないので、実用上きついのは上向き側です。
注意したいのは、この1.2mが車の全高ではなくプレート上端の地上高だということ。全高1,975mmのG400dはどう見ても背の高い側ですが、だからといって自動的に「1.2m超」に入るわけではありません。リアゲートのどこに付いているかで変わるので、気になるならメジャーで測るしかない。基準の側は車高では判定していません。
とはいえ、これは純正のまま乗っているぶんにはほぼ関係のない話でもあります。メーカーが基準を外して出荷することは考えにくい。効いてくるのは、社外のナンバーステーで角度を付けたときや、事故の修理でステーの取り付けが変わったときです。
分かれ目は「初めて登録・検査・使用の届出をした日」
ここが本題です。上の角度の表と、後で出すフレーム・ボルトカバーの寸法基準は、すべての車に適用されるわけではありません。
国土交通省の令和3年3月9日の報道発表に、こう書かれています。
以下の基準について、令和3年10月1日以降に初めて登録等を受ける自動車に適用
そして脚注に、それ以前の車の扱いが書いてあります。
令和3年9月30日までに登録・検査・使用の届出がある自動車については、上記基準によらず、自動車の運行中番号が判読できるような見やすい角度によりナンバープレートを取り付けること、また、番号を被覆せず、脱落するおそれがなく、自動車の運行中番号が判読できるフレーム又はボルトカバーを取り付けることができる。
(国土交通省 令和3年3月9日 報道発表資料(PDF)より)
つまり令和3年9月30日までに登録された車は、数値ではなく「判読できるか」という従来の基準のままということです。
大事なのは、この判定に使う日付が「初めて登録・検査・使用の届出をした日」だという点。車の年式でも、モデルの発売年でも、自分が買った日でもありません。
私のG400dは2021年5月に発売されたモデルで、乗り始めたのは2023年8月です。この2つの日付は、どちらも判定には使えません。その個体が最初に登録された日は、車検証を見ないと分からないからです。ここは正直に言っておきます。
車検証の「初度登録年月」がそれです。令和3年10月1日以降なら数値基準の対象、それより前なら従来基準。輸入車を並行で入れた場合や、一時抹消して再登録した車では話がややこしくなりますが、少なくとも「新車で買った年」で判断してはいけない、というのは覚えておいて損がないと思います。
「2021年4月1日から」と書いてある記事が多い理由
調べていて引っかかったのがここでした。ネット上には「2021年4月1日から」と書いている記事がそれなりにあります。最初はそちらが正しいのかと思って裏を取りにいきました。
結論から言うと、猶予期間はもともと令和3年4月1日でした。それが半年延びて令和3年10月1日になった。理由も報道発表に明記されています。
新型コロナウイルスの感染拡大により、国内の自動車購入需要が停滞したこと等を踏まえ、この猶予期間を延長し、令和3年10月1日以降に初めて登録等を受ける自動車に適用することとします。
延長されたのは、自動車登録番号標等の表示の位置及び表示の方法の基準を定める告示(平成27年国土交通省告示第1265号)と、自動車登録番号標、臨時運行許可番号標、回送運行許可番号標又は車両番号標に取り付けることのできる物品を定める告示(平成27年国土交通省告示第1266号)の2本です。
ここからが引っかかった部分です。国土交通省の解説ページそのものが、いまも延長前の日付のまま残っています。
国交省の解説ページ ~ナンバープレートを見やすく表示しましょう~ の本文にはこう書かれています。「平成33年4月1日以降に初めて登録を受ける自動車等のナンバープレートについては、一定範囲の上下向き・左右向きの角度によらなければならない」。平成33年4月1日は令和3年4月1日のことです。ページの日付は平成28年2月1日で、延長の報道発表は同じページの下の方に「過去の報道発表」として置かれているだけ。本文は書き換えられていません。
上で数値を引いたリーフレットPDFも同じで、表の脚注は「平成33年4月1日以降に初めて登録・検査・使用の届出がある自動車について適用する」のままです。
さらに念のため運輸支局が配っている資料も見にいきました。石川運輸支局が置いているNp.pdfは3ページあって、1ページ目が令和3年3月9日の「猶予期間を延長します」。ところが2〜3ページ目に付いているリーフレットは旧日付のままでした。同じPDFの中で日付が食い違っている。
これはさすがに、間違える人が出るよなと思いました。一次情報にあたれば正しいことが書いてある、という前提が崩れている珍しい例です。正しいのは報道発表の令和3年10月1日の方で、これは延長を告知した文書そのものなので疑う余地がありません。
フレームの「幅」は、フレームの大きさのことではない
フレームの基準はこうです。数値だけ見ると細かいのですが、何を測った値なのかを取り違えると全部ずれます。
| 部位 | 幅 | 厚さ |
|---|---|---|
| 上部 | 10mm以下 | 6mm以下(上部の幅が7mm以下の場合は10mm以下) |
| 左右 | 18.5mm以下 | 30mm以下 |
| 下部 | 13.5mm以下 | 30mm以下 |
加えて「脱落するおそれのないもの」であること。二輪はそもそもフレームの装着自体が禁止です。
さて、この「幅」です。国土交通省の定義はこうなっています。
ナンバープレートに取り付けたときの当該ナンバープレートの外縁からフレームの内縁までの長さ
プレートの外側の縁から、フレームの内側の縁まで。つまりフレームがナンバーの上にどれだけ被さっているかを測っている値であって、フレームそのものの太さや外形サイズではありません。
これは推測ではなくて、国交省が出しているフレームの基準の図解PDFに、そのままの言葉で書いてあります。図の中に2箇所、「フレームの幅に規定はありません」という注記が入っている。外側にどれだけ張り出していようが関係なく、内側に食い込んだぶんだけが規制されているという構造です。
言われてみれば当たり前で、この基準の目的は「番号が読めること」なんですよね。外に大きいぶんには番号は隠れない。
厚さの方も同じで、「ナンバープレートの表面から突出している部分の長さ」と定義されています。フレームの板そのものの厚みではなく、プレート面からどれだけ手前に出ているか。上部だけ6mm以下と、他の30mm以下に比べて極端に厳しい。理由は資料には書かれていないので分かりませんが、上部だけ別扱いになっているのは覚えておいた方がよさそうです。
通販でナンバーフレームを見ると「新基準対応」と書かれた商品がたくさん出てきます。これはメーカーが自社の測定で表示しているもので、国が認証した表示ではありません。数字を見て自分の車に付けたときにどうなるかを考える、という順序は変わらないです。
ナンバーフレーム(車検対応をうたうもの)
※「新基準対応」はメーカーの表示です。適合するかどうかは、お乗りの車の初度登録年月と実際の取り付け状態で決まります(2026年8月時点)。
ボルトカバーは直径28mm・厚さ9mm
ボルトカバー、いわゆるナンバーボルトキャップの方はもっとシンプルでした。
ボルトカバーの基準
・直径が28mm以下であって番号に被覆しないもの
・厚さ(プレート表面から突出している部分)が9mm以下
・脱落するおそれのないもの/二輪は装着自体が禁止
直径28mmというのは、実物を思い浮かべるとかなり大きい方です。普通のボルトキャップで28mmを超えるものは、そう多くないと思います。むしろ引っかかるとしたら「番号に被覆しないもの」の方でしょうね。キャラクターものや装飾の大きいキャップだと、文字にかかることがある。
厚さ9mmも、突き出しの少ないキャップなら問題になりにくい数字です。ただしチタンやステンレスの背の高いキャップは測ってみたほうがいい。
弱点を書いておくと、この基準について私が確認できたのは寸法までで、継続検査(車検)の現場でボルトキャップの直径をノギスで測るのかどうかは分かりませんでした。審査事務規程の該当箇所までは辿れていません。なので「車検で必ず測られる」とも「測られない」とも、ここでは言えないです。
年式に関係なく、全車がアウトになるもの
ここまで「令和3年10月1日以降に登録した車だけ」という話をしてきたので、古い車のオーナーが「うちは関係ない」と読んでしまう危険があります。逆です。
被覆・シール・汚れ・回転・折り返しの禁止は、平成28年4月1日から全車に効いています。年式は一切関係ありません。
| 項目 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 被覆・汚れ・物品の取付け | 禁止(封印、検査標章・保険標章等、基準内のフレーム・ボルトカバーを除く) | 全車 |
| 回転 | 水平であること | 全車 |
| その他 | 確実に取り付けていること/折り返されていないこと、表裏・上下が逆さでないこと等 | 全車 |
| 角度の数値 | 上の表のとおり | 令和3年10月1日以降に初めて登録等 |
| フレーム・ボルトカバーの寸法 | 上の数値のとおり | 令和3年10月1日以降に初めて登録等 |
いわゆるナンバープレートカバーは、無色透明でも装着禁止です。国土交通省のリーフレットにも警察庁と連名でそう書かれています。「必要か」という検索をよく見かけますが、必要かどうか以前に付けられません。
汚れも項目に入っているのが地味に効きます。冬に融雪剤で真っ白になっているとか、泥はねで数字が読めないというのは、条文の側から見ると被覆と同じ扱いです。都内をほぼ走っている私にはあまり縁のない話ですが、雪国に行った帰りは一度見た方がいい。
前のナンバーを付けない、という選択肢は無い
外車に乗っていると、一度は考えたことがあると思います。フロントバンパーに穴を開けたくない、デザインが台無しになる、という話です。輸入車は本国仕様だと前面プレートが無い国も多いので、なおさら気になる。
ただ、これは条文の側で塞がれています。施行規則第8条の2第1項です。
法第十九条の国土交通省令で定める位置は、自動車の前面及び後面であつて、自動車登録番号標に記載された自動車登録番号の識別に支障が生じないものとして告示で定める位置とする。ただし、三輪自動車、被牽引自動車又は国土交通大臣の指定する大型特殊自動車にあつては、前面の自動車登録番号標を省略することができる。
省略が認められているのは三輪自動車・被牽引自動車・国土交通大臣が指定する大型特殊自動車の3つだけ。四輪の乗用車はここに入っていません。
そして第19条違反は後述のとおり罰金の対象です。「付けていない」は角度や寸法の話以前の問題になる、ということですね。
軽自動車も同じ条文で縛られている
軽自動車のナンバーは「自動車登録番号標」ではなく「車両番号標」という別の名前で、根拠条文も別立てです。ただ、中身は同じでした。
道路運送車両法第73条第1項が、検査対象軽自動車と二輪の小型自動車について、第19条とほぼ同じ文言で表示義務を課しています。そして施行規則第43条の7が、登録車の規定である第8条の2第1項本文と第2項をそのまま準用する形になっている。
(検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車の車両番号標の表示)
第四十三条の七 第八条の二第一項本文及び第二項の規定は、法第七十三条第一項の規定による車両番号標の表示の位置及び方法について準用する。この場合において、第八条の二第一項本文中「後面」とあるのは「後面(三輪の検査対象軽自動車若しくは被牽けん引自動車である検査対象軽自動車又は二輪の小型自動車にあつてはその後面)」と読み替えるものとする。
読み替えているのは、三輪の軽自動車・被牽引の軽自動車・二輪の小型自動車を後面だけにする部分。軽の四輪は登録車と同じで前後どちらにも要ります。角度もフレームもボルトカバーも、寸法基準は登録車とまったく同じです。
ちなみに検査対象外軽自動車(原付を超える二輪など)は施行規則第63条の8が別に受け持っていて、こちらは「前面及び後面」が「後面」に読み替えられます。条文の番号が近いので混ざりやすいのですが、軽四輪は43条の7の方です。
罰則は反則金ではない
ここは数字だけ見ると重いです。
道路運送車両法第19条(登録車)と第73条第1項(軽自動車)の違反は、同法第109条第1号で50万円以下の罰金と定められています。
第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項…、第十九条、…又は第九十八条第三項の規定に違反した者
(e-Gov 道路運送車両法より)
駐車違反のような反則金の制度ではなく、罰金です。刑事罰の側にあります。とはいえ実際にいきなり50万円が飛んでくるという話ではなく、これは法定刑の上限です。ここは冷静に読んだ方がいい。
さらに重いのが偽造・変造の方で、第98条第1項に違反すると第106条で3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科。
見落としやすいのが第98条第2項で、こちらは「紛らわしい外観を有する物」を製造すること、そういう物を使用することを禁じています。罰則は第106条の5で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。撮影用のダミープレートを付けたまま公道に出る、といったことがここに触れる可能性があります。
条文が「懲役」ではなく拘禁刑になっているのに気づいた方もいるかもしれません。刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたためで、e-Govの現行条文はこの表記です。
買う前に見るべきなのは「新基準対応」の文字ではない
ここまでを実際の手順に落とすと、こうなります。
- まず車検証の「初度登録年月」を見る。令和3年10月1日以降なら数値基準の対象、それより前なら従来基準
- 従来基準の車でも、カバー・シール・汚れ・回転・折り返しは全部アウト。ここは年式で逃げられない
- フレームを選ぶなら、見るのは商品名の「新基準対応」ではなく、プレートに何mm被さるか
- ボルトキャップは直径28mm・厚さ9mm・番号にかからないこと
- 社外のナンバーステーで角度を変えているなら、前面は上下10°・左右は左向き10°までという狭さを思い出す
角度に前面と後面で別の数値があるというのは、資料の表を開くまで見えてこない部分です。純正で乗っているぶんには一生気にしなくていい話ではあるものの、年式で扱いが変わる規定という点では、ヘッドライトのロービーム計測やOBD検査と同じ構造をしています。この手の「いつから効くのか」は、毎回どこかに落とし穴があるなと思います。
外車の車検そのものにいくらかかるかは、実際に払った金額を別記事にまとめてあります。
よくある質問
中古で買った車です。新基準の対象かどうかは何を見れば分かりますか
車検証の「初度登録年月」です。令和3年10月1日以降であれば角度・フレーム・ボルトカバーの数値基準の対象、令和3年9月30日以前であれば従来の「番号が判読できる見やすい角度・フレーム」という基準が適用されます。買った日や年式ではありません。
令和3年9月30日以前に登録した車なら、フレームは何を付けてもいいのですか
いいえ。数値基準の対象外というだけで、「番号を被覆せず、脱落するおそれがなく、自動車の運行中番号が判読できる」ものであることは求められています。番号にかかるフレームは年式に関係なく認められません。
「新基準対応」と書かれたフレームを買えば車検は問題ないですか
その表示はメーカー側のもので、国の認証ではありません。基準はプレートの外縁からフレームの内縁までの長さ(上部10mm以下、左右18.5mm以下、下部13.5mm以下)で決まるので、実際に取り付けた状態で判断することになります。
ナンバープレートカバーは無色透明でも駄目ですか
装着禁止です。国土交通省と警察庁が連名で出しているリーフレットに「ナンバープレートカバーは装着禁止!! 無色透明でもダメ!!」と明記されています。平成28年4月1日以降、年式に関係なく全車が対象です。
軽自動車も同じ基準ですか
同じです。根拠は道路運送車両法第73条第1項と施行規則第43条の7で、登録車の第8条の2第1項本文・第2項を準用しています。軽の四輪は登録車と同様に前後どちらにも必要で、角度もフレームもボルトカバーも寸法基準は変わりません(第63条の8は検査対象外軽自動車の規定なので別物です)。
泥や雪で数字が見えにくいのも違反になりますか
「被覆・汚れ・物品の取付け」が禁止項目として挙げられているので、汚れて番号が判読できない状態は基準を満たしていないことになります。年式に関係なく全車が対象です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の商品の購入を勧誘するものではありません。記載した数値は2026年8月時点で国土交通省が公表している資料およびe-Govの現行条文にもとづくものです。個別の車両が基準に適合するかどうかの判断については、運輸支局または整備工場にご相談ください。
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