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車検のヘッドライトが2026年8月1日に全車ロービーム計測へ移行した|審査事務規程に「ケルビン」も「ルーメン」も1度も出てこない

夜の都心で対向車のロービームが正面から見えている運転席からの視界(撮影: CarCentral運営者) Car|車
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3週間前の2026年8月1日から、車検のヘッドライト検査が全車ロービーム計測になりました。

きっかけは、この前オートライトの1,000ルクスがどの条文にあるのかを追いかけたときに、同じ告示の並びで「すれ違い用前照灯」という言葉を何度も見ていたことです。あちらで扱ったのはいつ点くかで、検査でどう測られるかには一行も触れていません。ちょうど移行の直後なので、今度はそちらを原文で開いてみました。

検索して出てくる記事はだいたい「ロービームで6,400カンデラ以上」と書いてあります。数字は合っています。ただその6,400cdを車のどこで測るのかまで書いてある記事が見当たらなかったので、審査事務規程を落として読みました。結論から言うと、測っているのはたった1点で、しかも計測方法は3つあり、そのうち1つはレンズがくもっていると使えないと書いてありました。

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根拠は1枚のお知らせで、延期のことも自分で書いている

出発点は国土交通省・自動車技術総合機構・軽自動車検査協会が連名で出した令和8年5月付のお知らせです。A4で2ページしかありません。

平成10年9月1日以降に製作された自動車※1のヘッドライトの検査は、令和6年8月1日以降、全車ロービーム計測に移行する予定でしたが、周知期間中にいただいた様々なご意見を踏まえ、移行する期限を令和8年8月1日に延期していたところです。

今般、過渡期において地域ごとに円滑な移行に向けた取り組みを実施し、準備等が整ったことから、令和8年8月1日より、全車ロービーム計測に移行しますので、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

国土交通省・自動車技術総合機構・軽自動車検査協会「令和8年8月1日より、『ロービーム計測』に移行します」令和8年5月(PDF

サジェストに「ロービーム 車検 延期」と「ロービーム 車検 関東」が並んでいる理由が、この2文にそのまま入っています。2024年8月にやるはずだったものが2年ずれた。しかも「過渡期において地域ごとに」と書いてあるとおり、その2年間の運用は地域ごとに足並みが違いました。だから「関東は」「中部は」という話が方々に残っている。役所の文書としてはめずらしく、延期した事実を自分から一段落使って説明しています。

もう一つ、意外と拾われていないのが除外リストのほうです。※1にこう書かれています。

※1:二輪自動車、側車付二輪自動車、最高速度35km/h未満の大型特殊自動車、最高速度20km/h未満の自動車及び被牽引自動車を除きます。

バイクは対象外です。「ロービーム 車検 バイク」で調べている人の答えは、実はこの脚注1行で終わります。ただし二輪には二輪の基準が別にあるので、「検査されない」という意味ではありません。この移行の話に入っていない、というだけです。

弱点も書いておくと、このお知らせは合格ラインの数値を1つも書いていません。cdもlxも0件で、明るさの話は「基準を満たしているかどうか」としか書いていない。数字を知りたければ、別のところを開くことになります。

すでにロービームで測っていた。変わったのは「全車」の2文字

同じお知らせの裏面に、こういう一文があります。

平成10年9月1日以降に製作された自動車※1の車検時には、夜間走行時に使用頻度の高いロービームが基準を満たしているかどうかを、ヘッドライトテスタを用いて検査しているところです

現在形です。ロービームで測ること自体は、もう始まっていた。今回の8月1日で変わったのは、そこに残っていた過渡期の扱いが終わって「全車」になった、という部分です。

この境目は審査事務規程の側でも同じ日付で切られています。第9章に計測区分の表があって、いちばん最初の「走行用前照灯」(=ハイビーム)の計測は、対象がこう書かれていました。

計測の種類 対象
① 「走行用前照灯」の計測 平成10年8月31日以前に製作された自動車/令和2年9月30日以前に製作された二輪自動車・側車付二輪自動車/最高速度35km/h未満の大型特殊自動車 ほか
② エルボー点又はカットオフラインの位置による計測 カットオフラインを有するすれ違い用前照灯を備える自動車/配光可変型前照灯を備える自動車
③ 最高光度点の位置による計測 カットオフラインが確認できないすれ違い用前照灯を備える自動車/指定自動車等以外の自動車

独立行政法人自動車技術総合機構 審査事務規程 第9章 9-8(3)(PDF・最終改正 第72次

「ロービーム 車検 年式」「ロービーム 車検 旧車」の答えが、ここにあります。ハイビームで測ってもらえるのは、平成10年8月31日以前に製作された車だけ。1998年8月31日です。それより後に作られた車は、もう①の対象に入っていません。

見るのは初度登録ではなく製作年月日のほうです。オートライトの適用関係を追いかけたときも同じでした。輸入車で船便を待った個体だと、この2つは平気で数か月ずれます。

6,400cdを測っているのは、左方1.30°[230mm]の1点だけ

本題です。②の判定はこう書かれています。長いのですが、ここが一番肝心なので原文のまま置きます。

「すれ違い用前照灯の照明部の中心を含む水平面」より下方0.60°[110mm](当該照明部の中心の高さが1mを超える自動車にあっては下方0.90°[160mm])の平面と「すれ違い用前照灯の照明部の中心を含み、かつ、車両中心線と平行な鉛直面」より左方1.30°[230mm]の平面が交わる位置において、1灯につき6,400cd以上

審査事務規程 第9章 9-8(3)②

言い方を変えると、こうなります。前照灯の中心から左に230mm、下に110mmずれたところ。そこ1点の明るさだけを見て、6,400cd以上あるかを判定している。「明るいかどうか」ではなく、決められた1点が明るいかどうかを測っています。

なぜ左下なのかは、ロービームの配光を考えると腑に落ちます。対向車を眩惑させないために、右上は切り落とす。そのぶん自分側の路肩、つまり左下に光を落とす。その落としたところを測っているわけです。

ここで数字がもう1つ効いてきます。かっこ書きの「当該照明部の中心の高さが1mを超える自動車にあっては下方0.90°[160mm]」。同じ車でも、ヘッドライトが高い位置にある車は測る点が違います。エルボー点の許容範囲も同様に分かれていました。

項目 照明部の中心が地上1m以下 照明部の中心が地上1m超
光度を測る点(下方) 0.60°[110mm] 0.90°[160mm]
エルボー点の許容範囲(下方) 0.11°[20mm]〜0.86°[150mm] 0.41°[70mm]〜1.16°[200mm]
左右の許容範囲 1.55°[270mm](左右それぞれ)
光度 1灯につき6,400cd以上

審査事務規程 第9章 9-8(3)②より作成

背の高いSUVやミニバンに乗っている人ほど、この右の列を見ておく価値があると思います。車高が上がると、光軸を「どこまで下げてよいか」の幅そのものが変わる。1m以下の車と同じ感覚で調整すると、範囲の端に寄ってしまうことがあり得ます。

そして、あまり書かれていないのがこの続きです。6,400cdに届かなかったときの規定があります。

(自動計測式前照灯試験機を用いて計測したとき6,400cdに満たない場合にあっては、「すれ違い用前照灯の照明部の中心を含む水平面」より下方0.27°[50mm]及び下方0.93°[160mm]…の平面と「すれ違い用前照灯の照明部の中心を含み、かつ、車両中心線と平行な鉛直面」より左方0.30°[50mm]及び左方2.30°[400mm]の平面に囲まれた範囲内のいずれかの位置において、1灯につき6,400cd以上

つまり1点で駄目でも、その周囲の四角い範囲のどこかに6,400cdあれば適合という二段構えになっています。「6,400cd以上」とだけ書いてある記事は、この救済範囲を落としています。落ちるかどうかの実感が変わるところなので、これは大きい差だと思います。

ちなみに二輪は同じ位置で3,200cd以上、ちょうど半分です。ハイビーム側は最高光度の合計が430,000cdを超えないことという上限のほうが規定されていて、こちらは明るすぎを止める条文になっています。

レンズがくもっていると、3番目の測り方が使えなくなる

計測方法が3つあることは前の表に出しました。問題はその③です。対象がこう書かれています。

③ 最高光度点の位置による「すれ違い用前照灯」の計測
対象 ・カットオフラインが確認できないすれ違い用前照灯(レンズの表面にくもりがないものに限る。)を備える自動車 ・指定自動車等以外の自動車

審査事務規程 第9章 9-8(3)③

かっこの中の一言が、この記事を書こうと思った理由です。

③は②より緩い測り方です。②はエルボー点やカットオフラインの位置まで見るのに対し、③はいちばん明るい点がどこにあるかだけを見て、そこが水平面より下・鉛直面より左にあればよい、という判定になっています。カットオフラインがはっきり出ない古い灯体には、この逃げ道が用意されている。

ところがその逃げ道には「レンズの表面にくもりがないものに限る」という条件が付いている。くもった灯体は、そもそもカットオフラインが確認できなくなる。にもかかわらず、くもっているという理由で③を使えない。

さらに9-8(1)の柱書のほうにも、こう書かれています。

この場合において、(2)に規定する自動車の状態で前照灯を計測したときに、(3)に規定する要件を満たし、かつ、前照灯のレンズ面に、損傷、著しい汚損、緩み、がたがないものは、これらの基準に適合するものとする。

レンズの状態は、光度とは別に条件として並んでいます。「暗いから落ちる」だけでなく「くもっているから、緩い測り方に回れない」という落ち方があるということです。ここまで書いている記事を私は見つけられませんでした。

弱点も書いておきます。「どの程度のくもりから『くもりがある』と判断されるのか」は、規程には書かれていません。「著しい汚損」の程度も同じです。ここは検査を担当する人の判断になるはずで、条文からは線を引けません。

国が挙げた整備手法は5つ。1番目がレンズの清掃と磨きだった

お知らせの裏面には、整備・修理の例が箇条書きで並んでいます。

○レンズ面の清掃・磨き・交換
○バルブの交換
○ヘッドライトユニットの交換、中古部品の活用
○ヘッドライトユニットを分解して修理するリペア業者を活用
○汎用部品を使用してヘッドライトを増設

同PDF 裏面(※2として「記載している整備手法や修理手法は一例であり、これらを実施したからといって必ずしも基準に適合するものではありません」と注記されています)

順番に意味があるかは書かれていませんが、いちばん安く済むものから並んでいるようには読めます。そして先ほどの③の条件を踏まえると、レンズの清掃・磨きが筆頭に来ているのは自然です。くもりを取ることは、光度を上げる話であると同時に、緩い測り方に回れる資格を取り戻す話でもあるからです。

同じページには、写真付きで劣化の3類型が挙げられています。内部リフレクタの劣化/レンズ面のくもり/相性の悪いバルブに交換。真ん中だけが自分で手を出せる範囲で、内部リフレクタは分解しないと届きません。3つ目に至っては、明るくしようとして替えたバルブが原因という話です。

市販のヘッドライトクリーナーは、この「レンズ面のくもり」を落とすためのものです。国のお知らせが挙げている整備手法の1番目にあたります。

ヘッドライトクリーナー(くもり・黄ばみ除去)

磨いたあとに何もしないと再びくもるため、コーティング剤を併用する製品が多く売られています。ここは私自身が施工したことがないので、持ちの良し悪しは書けません。国のお知らせも「これらを実施したからといって必ずしも基準に適合するものではありません」とわざわざ注記しているとおり、磨けば通るという保証はどこにもありません。

ヘッドライト用コーティング剤

「ケルビン」も「ルーメン」も、規程には1文字も出てこない

サジェストには「ヘッドライト 車検 ケルビン」と「ヘッドライト 車検 ルーメン」がどちらも出ます。バルブを買うときに箱に大きく書いてある単位なので、当然だと思います。

そこで、今回開いた2つの規程を丸ごと検索してみました。

探した語 7-66,8-66 すれ違い用前照灯(約2万4千字) 第9章 テスタ等による機能維持確認(約4万字)
ケルビン 0件 0件
ルーメン 0件 0件
色温度 0件 0件
cd(カンデラ) 8件 23件
白色 7件 0件

2026年8月24日に両PDFの全文を抽出して計数

検査が見ているのはカンデラだけです。ケルビン(色温度)もルーメン(光束)も、規程の中に一度も出てきません。

これは、6000Kのバルブなら通る/通らない、という話がそもそも条文の言葉で表現されていないということです。色について書かれているのは、こちらでした。

② すれ違い用前照灯の灯光の色は、白色であること。

審査事務規程 8-66-2 性能要件(PDF・最終改正 第64次

「白色であること」。以上です。数値の範囲は書かれていません。第9章で色度座標測定機器を使うと定められているのは橙色と赤色だけで(9-9)、白色には測定機器の規定すらありませんでした。つまり白かどうかは目で見て判断されていることになります。

ここが実務上いちばん厄介なところだと思います。数値で決まっていれば買う前に判断できるのに、決まっていないので「白く見えるかどうか」という幅のある判断が残る。青みの強いバルブが話題になり続けるのは、この構造のせいです。

平成17年12月31日以前に作られた車は、淡黄色でもいい

ただし例外があります。規程には従前規定が⑨まで並んでいて、その5番目がこれでした。

7-66-9 従前規定の適用⑤ 平成17年12月31日以前に製作された自動車については、次の基準に適合するものであればよい。
① すれ違い用前照灯の灯光の色は、白色又は淡黄色であり、同時に点灯する走行用前照灯を含む全てが同一であること。

審査事務規程 7-66-9

2005年12月31日以前に作られた車は、淡黄色(イエロー)でも構いません。ただし条件が付いていて、ハイビームを含めて全部が同じ色である必要があります。ロービームだけ黄色、というのは駄目だということです。

年式の区切りは、他にも昭和35年9月30日・昭和44年3月31日・昭和48年11月30日と並んでいます。旧車ほど当てはまる従前規定が変わるので、「ロービーム 車検 旧車」で検索して出てくる一般論をそのまま自分の車に当てはめないほうがいい、というのが読んだ感想です。

並行輸入車が落ちるのは、明るさではなく配光の向き

性能要件には、明るさとも色とも関係ない条文が1つ混ざっています。

⑤ すれ違い用前照灯は、その配光が右側通行用のものでないこと
この場合において、すれ違い用前照灯の照明部の中心を含み、かつ、車両中心線と平行な鉛直面より右方にあるカットオフラインの全てが、すれ違い用前照灯の照明部の中心を含む水平面より下方にあるものについては、この基準に適合するものとする。

審査事務規程 8-66-2 ⑤

右側通行の国で売られている車のロービームは、日本と左右が逆に配光されています。右肩上がりに切り上がっていて、日本の道で使うと対向車線を照らす。これは光度計では引っかかりません。6,400cdは余裕で出るのに、向きが逆だから落ちる、という落ち方です。

後段のただし書きも大事です。中心より右側にあるカットオフラインが全部、水平面より下にあれば適合とみなす、と書かれています。だから作りによっては、右側通行用の灯体でも通る余地が残っている。「輸入車は必ず落ちる」でも「通る」でもなく、カットオフラインが右側で上に出ているかどうかで決まります。

なお私が乗ってきたのはどちらも正規ディーラーで買った個体なので、この条文で困った経験はありません。並行輸入の実車で何が起きるかは、私は書けません。ここは制度の説明までにしておきます。

計測時の車の状態も6つ決まっている

見落とされがちなのですが、規程は「どういう状態で測るか」も決めています。

# 自動車の状態
直進姿勢
手動式の前照灯照射方向調節装置を備えた自動車は、標準状態に対応するように調節した状態
原動機が作動している状態
前照灯試験機の受光部と計測する前照灯を正対させた状態
計測に影響する灯火器が点灯している場合は、その照明部を遮蔽した状態
配光可変型前照灯を備えた自動車は、中立状態と自動作動状態との切替機構を中立とした状態

審査事務規程 第9章 9-8(2)

②が、お知らせに書かれていた「◎レベリング装置の位置を標準状態に戻してから調整開始!」と対応しています。手元でライトの高さを下げたまま検査を受けると、標準状態ではない位置で測られる。国が感嘆符付きで書いているくらいなので、実際に起きているのだと思います。

③も地味に効きます。エンジンをかけた状態で測るので、発電が止まっている状態の電圧では測られない。バッテリーの弱りが直接そのまま出るわけではない、という読み方になります。

そしてもう1つ、お知らせにはこう書かれていました。

◎照射光線は合格エリアの端部ではなく中央に合わせる!

先ほどのエルボー点の許容範囲、下方0.11°[20mm]〜0.86°[150mm]を思い出すと意味が分かります。幅は130mmしかありません。端に合わせておくと、走行中の振動で少しずれただけで外に出ます。中央に置けと言っているのは、余白を残しておけという話です。

私の車検の請求書からは、どちらで測ったか分からない

自分の話も書いておきます。

私は2019年3月にMercedes-AMG C43(W205型)を新車で購入して、新車から3年目の初回車検をヤナセに出しました。支払いは127,666円です。

ただ、この記事を書きながら請求書を見返してみて、正直なところ何も分かりませんでした。私の手元にあるのは「MB2年点検A 47,916円」と「車検費用 79,750円」という2行だけで、ヘッドライトを何cdで測ったのかも、そもそもロービームで測ったのかハイビームで測ったのかも書かれていません。

製作年で言えばC43は平成10年8月31日よりはるかに後なので、いまの規程ならロービーム計測の側です。ただし当時の版の規程を確認していないので、断定はしません。過渡期の運用が地域ごとに違っていた期間なので、なおさら手元の2行からは言えません。

いま乗っているG400dのほうは、まだこの話に踏み込めていません。カタログ上の全高は1,975mmなので、先ほどの「照明部の中心の高さが1mを超えるか」の分岐に関係してくる可能性はあります。ただし全高と照明部の中心の高さは別物で、私は測っていません。1m超の列を見るべきかどうかも、まだ確かめていない状態です。ここは推測で書きたくないので、そのまま置いておきます。

こういうときに毎回思うのは、ディーラーに出していると請求書が2行で終わってしまうということです。金額は分かるのに、中で何をどう測ったかは残らない。私は保証期間中はディーラー、保証が切れたら信頼できる民間工場、という切り替えを前提に考えているのですが、明細の粒度という意味では民間工場のほうが見えるのかもしれないな、と今回はじめて思いました。

よくある質問

Q. 2026年8月1日から、何がどう変わったのですか

ヘッドライトの検査が全車ロービーム計測になりました。ロービームで測ること自体は平成10年9月1日以降に製作された車について既に行われており、令和6年8月1日に完全移行する予定が令和8年8月1日に延期されていたものです。二輪自動車、側車付二輪自動車、最高速度35km/h未満の大型特殊自動車、最高速度20km/h未満の自動車、被牽引自動車は対象から除かれています。

Q. ハイビームで測ってもらえる車はありますか

あります。審査事務規程 第9章 9-8(3)①の対象は平成10年8月31日以前に製作された自動車です(ほかに令和2年9月30日以前製作の二輪・側車付二輪、最高速度35km/h未満の大型特殊自動車など)。判定に使われるのは初度登録ではなく製作年月日です。

Q. 合格ラインの6,400cdは、どこを測った数字ですか

前照灯の照明部の中心から左方1.30°[230mm]、下方0.60°[110mm]の平面が交わる位置です(照明部の中心の高さが1mを超える車は下方0.90°[160mm])。その1点で6,400cdに満たない場合でも、規程に定められた周囲の範囲内のいずれかの位置で6,400cd以上あれば適合とされる二段構えになっています。二輪は3,200cd以上です。

Q. ケルビン数(色温度)の上限は決まっていますか

決まっていません。今回確認した審査事務規程の2つのPDFに「ケルビン」「ルーメン」「色温度」はいずれも0件でした。色について書かれているのは「すれ違い用前照灯の灯光の色は、白色であること」だけで、数値の範囲はありません。第9章で色度座標測定機器の対象とされているのは橙色と赤色のみで、白色は視認による判断になります。

Q. 黄色(イエロー)のロービームは通りますか

平成17年12月31日以前に製作された自動車であれば「白色又は淡黄色」でよいと従前規定⑤に定められています。ただし同時に点灯する走行用前照灯を含めてすべてが同一の色である必要があります。それより後に作られた車は白色のみです。

Q. レンズのくもりは、光度が足りていれば問題ありませんか

そうとは限りません。9-8(1)は「前照灯のレンズ面に、損傷、著しい汚損、緩み、がたがないもの」を適合の要件として並べています。また計測方法③(最高光度点による計測)は対象が「レンズの表面にくもりがないものに限る」とされているため、くもっていると③に回れません。ただし、どの程度から「くもりがある」と判断されるかは規程に書かれていないため、実際の判断は検査を行う側によります。

Q. 並行輸入車はどうなりますか

明るさではなく配光の向きが論点になります。8-66-2⑤が「その配光が右側通行用のものでないこと」と定めています。ただし、車両中心線と平行な鉛直面より右方にあるカットオフラインの全てが照明部の中心を含む水平面より下方にある場合は、この基準に適合するものとするというただし書きが付いています。

まとめ

  • 令和8年(2026年)8月1日から全車ロービーム計測。令和6年8月1日の予定が2年延期されたもので、延期の経緯はお知らせ自身に書かれている
  • 二輪・側車付二輪・最高速度35km/h未満の大型特殊・最高速度20km/h未満・被牽引は対象外
  • ロービームでの計測自体は以前から行われていた。変わったのは「全車」になったこと
  • ハイビーム計測が残るのは平成10年8月31日以前に製作された自動車。見るのは初度登録ではなく製作年月日
  • 6,400cdを測るのは左方1.30°[230mm]・下方0.60°[110mm]が交わる1点。照明部の中心が地上1mを超える車は下方0.90°[160mm]に変わる
  • 1点で届かなくても、規程が定める周囲の範囲のどこかで6,400cd以上あれば適合という二段構え
  • 計測方法は3つ。③はレンズの表面にくもりがないものに限るため、くもると緩い測り方に回れない
  • 規程に「ケルビン」「ルーメン」「色温度」は0件。色は「白色であること」だけで、白色に測定機器の規定は無い
  • 平成17年12月31日以前製作なら淡黄色も可。ただしハイビームを含めて全部同色であること
  • 並行輸入で問題になるのは明るさではなく配光が右側通行用でないこと(8-66-2⑤)
  • 計測時の状態も6つ規定。レベリング装置は標準状態に戻す/原動機は作動している状態

読み終わって一番残ったのは、6,400cdという有名な数字よりも、③のかっこ書き1行のほうでした。くもったレンズは暗くなるから駄目、という話だと思っていたのですが、規程はその手前で「くもっていると、そもそも別の測り方に回れない」と書いている。磨くという整備がなぜ筆頭に挙がっているのか、条文の側から見ると理由がはっきりします。

本記事は2026年8月時点の法令・告示・審査事務規程に基づく情報提供を目的としており、個別の車両が保安基準に適合するかどうかを判定するものではありません。規程の解釈には幅があり、実際の合否は検査場・整備事業者の判断によります。自車の適用関係や合否について確証が必要な場合は、依頼先の整備事業者・自動車検査員などの専門家、または運輸支局にご確認ください。金額・料金については各整備事業者にご確認ください。

同じ前照灯でも、こちらは「いつ点くか」の側。1,000ルクスが条文のどこにも書かれていない話です。

本文で触れた127,666円の中身。外車の初回車検で実際に何にいくら乗ったかを、請求書の2行から分解できるところまで書いています。

車検のもう一つの新しい検査。電子的にDTCを読むOBD検査の対象装置は8つで、灯火は入っていませんでした。

保安基準を原文から追いかけたシリーズの最初。省令が枠だけ決めて中身を告示に投げる構造は、前照灯でも同じでした。

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