結論から書きます。2026年8月3日時点のハイオク全国平均は180.9円/L。暫定税率の上乗せ分がまだ乗っていた2025年11月10日が184.3円だったので、下がった幅は3.4円です。
25.1円の税金が消えたはずなのに、店頭の数字はほとんど戻っていません。
私は2019年3月に買ったAMG C43で、累計20,855.1km走った時点の実測燃費が8.3km/Lでした。ハイオク指定です。2023年8月にG400dへ乗り換えたので、いまは軽油を入れる側になっています。後半でそちらにも触れます。
維持費の全体像は別記事にまとめてあるので、ここでは燃料の単価だけを追いかけます。
週次データを廃止前から並べると、動きが3つに割れている
数字はすべて資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の全国平均です。同庁が毎週水曜14時に公表しているもので、週次ファイル(1990年からの全期間が入っています)を開いて該当週を抜きました。
| 調査日 | ハイオク | レギュラー | 軽油 | 東京のハイオク |
|---|---|---|---|---|
| 2025年11月10日(補助金拡充の直前) | 184.3円 | 173.5円 | 153.7円 | 183.6円 |
| 2025年12月22日(ガソリン暫定税率の廃止直前) | 168.8円 | 158.0円 | 145.5円 | 168.4円 |
| 2026年1月19日 | 165.5円 | 154.7円 | 143.0円 | 165.3円 |
| 2026年3月16日 | 201.8円 | 190.8円 | 178.4円 | 201.3円 |
| 2026年6月1日 | 180.2円 | 169.5円 | 158.8円 | 178.4円 |
| 2026年8月3日 | 180.9円 | 170.1円 | 159.4円 | 179.6円 |
出典: 資源エネルギー庁「石油製品価格調査 調査の結果」(2026年8月5日公表分・調査日は8月3日)
見てのとおり、下がって、跳ねて、また戻っている。1本の線で説明できる動きではありません。順に見ます。
ひとつ先に断っておくと、この表は全国平均です。同じ週でも都道府県で10円以上ばらつきます。東京の欄を併記したのはそのためで、自分の地域の数字は元データの都道府県別シートを見たほうが早いです。
12月31日に25.1円が落ちたわけではない
暫定税率(正式には「当分の間税率」)は、ガソリンで1リットルあたり25.1円、軽油で17.1円が上乗せされていた部分です。廃止日はガソリンが2025年12月31日、軽油が2026年4月1日。
ただ、廃止の当日に価格が一気に下がったわけではありません。 これは資源エネルギー庁自身が事前に説明しています。
暫定税率の廃止当日に、ガソリンの価格が25.1円下がるわけではありません。
引用元は資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?」です。
代わりに何をしたかというと、補助金を段階的に積み増して、先に価格を下げていった。1回あたりの変動幅を最大5円程度に抑えながら、2025年11月13日に10円→15円、11月27日に20円、12月11日に25.1円と、2週間ごとに5円ずつ拡充しています。軽油も11月13日に15円、11月27日に17.1円。
理由も明記されていて、価格が一気に下がると買い控えと反動の需要増が起きて、給油待ちの渋滞や在庫切れにつながるから、とされています。2008年の暫定税率失効時に実際に起きたことです。
表に戻ると、この説明が数字と合っているのが分かります。11月10日の184.3円から12月22日の168.8円まで、廃止日を待たずに15.5円下がりきっている。だから12月31日は、価格の上では何も起きない日でした。
「12月31日に安くなる」と思って給油を先延ばしにした人は、たぶん損をしています。値下がりはその前に終わっていました。資源エネルギー庁も、待たずに普段どおり給油するよう呼びかけています。災害時に燃料が必要になることを理由に挙げていて、こちらのほうが本題だと思います。
底は1月19日の165.5円。1か月半しか続かなかった
ハイオクがいちばん安かったのは2026年1月19日の165.5円です。東京は165.3円。
184.3円と比べれば18.8円安く、これは暫定税率の25.1円にはやや届かないものの、税金が消えた効果としては素直な水準でした。ここで止まっていれば、話は分かりやすかったと思います。
止まりませんでした。2月に入って166円台で横ばい、2月16日に167.5円、3月2日に169.3円、3月9日に172.6円と、じりじり上がり始めます。
3月16日、ハイオクは201.8円をつけた
そして3月16日の調査で201.8円。前週の172.6円から29.2円の上昇です。レギュラーも190.8円、軽油は178.4円まで跳ねました。
原因は中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰だと、資源エネルギー庁が説明しています。同庁の記事では「3月上旬には、北米市場の代表的な指標原油であるWTI原油の価格が、一時1バレル120ドル近くに迫りました」と書かれています。日本は原油の中東依存度が9割を超えている、という前提の話です。
政府は3月11日に「緊急的激変緩和措置」を決定し、3月19日から支援を開始しました。中身はシンプルで、ガソリンの全国平均小売価格が170円程度を超える見込みになった場合、170円を超える部分について10分の10を補助する、というもの。軽油・重油・灯油はガソリンと同額、航空機燃料はガソリンの4割相当です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始 | 2026年3月19日出荷分から |
| ガソリン | 全国平均小売価格の170円超過分を10/10補助 |
| 軽油・重油・灯油 | ガソリンと同額 |
| 航空機燃料 | ガソリンの補助額の4割相当 |
| 補助単価の例 | 2026年5月28日〜6月3日の週で1リットルあたり37.2円 |
| 支給先 | 燃料油の元売り事業者(卸価格を抑える原資として) |
出典: 資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」、同「日本のガソリン価格は世界と比べて安い?高い?中東情勢を踏まえた燃料油の『緊急的激変緩和措置』」(いずれも2026年8月時点)
補助単価37.2円というのは、暫定税率の25.1円より大きい数字です。つまりいまの180.9円は、暫定税率が消えた上に、それより大きい補助が乗って、それでもこの水準ということになります。
ここが今回いちばん腑に落ちなかった部分でした。減税と補助を両方やっているのに、廃止前より3.4円しか安くない。
なお、この措置がいつまで続くかは公表されていません。同庁の記事にあるのは「事態が長期化した場合には支援の在り方を柔軟に検討していきます」という一文だけです。終わる時期を前提にした計算はしないほうがいいと思います。
私の給油量だと、月と年でいくら変わるのか
ここからは自分の車に当てはめます。AMG C43に乗っていた当時の実績は次のとおりです。
- 月間走行距離: 500〜1,000km
- 月間給油量: 60〜120L
- 累計実測燃費: 20,855.1km走行時点で8.3km/L
- 東京〜熱海往復260.1kmの高速+一般道混合で11.2km/L
- 満タン走行可能距離は、熱海からの帰りに給油したときの表示で638km
この月間給油量60〜120Lに、それぞれの単価を掛けます。
| 時点 | ハイオク単価 | 月のガソリン代 | 年換算 |
|---|---|---|---|
| 2021年当時(記事162の計算) | 140円 | 8,400〜16,800円 | 約10〜20万円 |
| 2025年11月10日(廃止前) | 184.3円 | 11,058〜22,116円 | 132,696〜265,392円 |
| 2026年1月19日(底) | 165.5円 | 9,930〜19,860円 | 119,160〜238,320円 |
| 2026年8月3日(現在) | 180.9円 | 10,854〜21,708円 | 130,248〜260,496円 |
廃止前と現在の差は、月204〜408円、年2,448〜4,896円。1月の底の時点なら年13,536〜27,072円下がっていたので、そこから1万円以上を戻したことになります。
月400円というのは、正直に言えば給油のたびには気づかない額です。税制のニュースは大きく報じられるのに、自分の財布での効き方はこの程度という落差は、数字にしてみて初めて分かりました。
一方で、2021年の140円と比べると月2,454〜4,908円、年に直して29,448〜58,896円増えています。暫定税率の廃止で戻ったのは、この5年間の上昇分の一部でしかない、という見方のほうが実態に近いと思います。
弱点も書いておくと、この計算は月間給油量を固定した単純計算です。実際には価格が上がれば走り方を変える人もいるので、そのまま家計の差額になるわけではありません。
ハイオク指定であること自体のコストは、ほぼ動いていない
ついでに気づいたことを書きます。ハイオクとレギュラーの差額を、上の表の各時点で引き算してみました。
- 2025年11月10日: 184.3 − 173.5 = 10.8円
- 2026年1月19日: 165.5 − 154.7 = 10.8円
- 2026年3月16日: 201.8 − 190.8 = 11.0円
- 2026年8月3日: 180.9 − 170.1 = 10.8円
価格が165円でも201円でも、差は10.8円前後で動いていません。 原油が跳ねても補助が入っても、この幅だけは変わらないということです。
月間給油量60〜120Lに当てると、ハイオク指定の車に乗っていること自体のコストは月648〜1,296円、年7,776〜15,552円。外車の維持費の中では小さい項目ですが、燃料代の話をするときに「ハイオクだから高い」と言われる部分の実額はこれくらいです。思っていたより小さくて、少し拍子抜けしました。
軽油は、暫定税率が消えたのに廃止前より高い
冒頭に書いたとおり、私は2023年8月にG400dへ乗り換えていて、いまは軽油を入れています。なので、ここからは自分の話でもあります。
表をもう一度見てください。
- 2025年11月10日(廃止前): 153.7円
- 2026年8月3日(廃止後): 159.4円
17.1円の暫定税率がなくなったのに、5.7円高くなっている。 「軽油も4月1日に廃止」という見出しだけを見ていると、まず気づけない部分です。
理由は上に書いたとおりで、廃止のタイミングが原油高騰と重なったからです。軽油の廃止日は2026年4月1日で、まさに中東情勢で価格が跳ねていた時期にあたります。制度としては減税されているのに、体感としては何も起きていない。こういうことは起きます。
ハイオクと軽油の価格差は、2026年8月3日時点で21.5円。ディーゼルの燃費がガソリン車より良ければその分も乗るので、燃料費だけを見ればディーゼルの優位は残っています。
ただしG400dの実測燃費は、まだ記録として出していません。 カタログ値で年間差額を計算することはできますが、それは上の8.3km/Lのような数字とは別物です。実測が溜まってから別記事にします。乗り換えた本人が「たぶんこれくらい」で書き始めたら、この記事の意味がなくなるので、ここは待ちます。
ディーゼル側では、燃料以外にも新車から3年で区切りが来ます。メルセデス・ケアが切れたあとに何が有償になるのかは、Gクラスの料金表を開いて別記事にまとめました。
単価は自分で動かせない。動かせるのは、入れる場所と払い方
ここまでの話は、全部「自分では動かせない数字」です。中東情勢も補助金も、こちらから触れるところがありません。
触れるところは2つあると思っています。
ひとつは、どこで入れるか。 コストコには通常より約10円/L安いガソリンスタンドがあります。月間給油量60〜120Lなら、月600〜1,200円、年7,200〜14,400円の差です。
これを暫定税率の廃止で残った3.4円と比べると、10円の単価差は、その約2.9倍にあたります。国の税制より、給油先を変えるほうが効くという話になってしまう。書いていて少し変な気分になりますが、数字はそうなっています。
もっとも、これには前提があります。コストコの店舗が生活圏にあること、年会費を払っていること、そして給油のために遠回りしないこと。片道10km余分に走ったら、8.3km/Lの車では1.2Lほど使うので、10円/Lの差はあっさり消えます。自分の動線の上にあるかどうかがすべてです。
もうひとつは、どう払うか。 ガソリン代は毎月出ていく固定費なので、決済手段を寄せる効果がいちばん出やすい項目です。自動車税をカードで払ったときの実額と手数料の話は別記事に書きました。
外車の固定費でいうと、燃料より一度の金額が大きいのは車検です。こちらも実額を出してあります。
よくある質問
暫定税率は本当に廃止されたのですか
されています。ガソリンが2025年12月31日、軽油が2026年4月1日です。上乗せ分はガソリンで25.1円/L、軽油で17.1円/Lでした(資源エネルギー庁)。店頭価格が下がっていないのは、廃止と原油高騰の時期が重なったためです。
いまの補助金はいつまで続きますか
公表されていません。 資源エネルギー庁は「事態が長期化した場合には支援の在り方を柔軟に検討していきます」としているだけで、終了時期は示されていません。終わる前提でも続く前提でも計算しないほうが無難だと思います。
最新のハイオク価格はどこで見られますか
資源エネルギー庁「石油製品価格調査 調査の結果」で毎週水曜14時に公表されています。概要版はレギュラー・軽油・灯油だけですが、同じページの週次ファイル(EXCEL)にハイオクのシートがあり、都道府県別の数字も入っています。
ハイオク指定の車にレギュラーを入れてもいいですか
メーカーが指定した燃料を入れるのが前提です。単価差だけを見て変えるものではないので、判断は取扱説明書とディーラーに従ってください。ここは私が実験した話ではないので、断定は避けます。
まとめ
- 2026年8月3日時点のハイオク全国平均は180.9円/L、東京は179.6円
- 暫定税率の上乗せがあった2025年11月10日は184.3円。差は3.4円
- 廃止日に下がったのではなく、2025年11月から補助金を段階的に積んで先に下げていた
- 1月19日の165.5円が底。3月16日に中東情勢で201.8円まで跳ね、3月19日からの緊急補助で170円台後半に戻った
- 軽油は暫定税率が廃止されたのに、廃止前より5.7円高い
- 実測8.3km/L・月間給油量60〜120Lだと、廃止前との差は年2,448〜4,896円
税制の話は大きく報じられますが、自分の給油量で計算し直すと、印象より小さいというのが今回の実感でした。動かせない単価を眺めるより、入れる場所と払い方を見直すほうが、たぶん早いです。
※ 本記事の価格はすべて資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の全国平均(2026年8月5日公表・調査日8月3日)に基づく、2026年8月時点の情報です。実際の店頭価格は地域・店舗により異なります。筆者の走行距離・給油量・実測燃費は2019年式 AMG C43(W205型)の記録で、読者の実額と一致するものではありません。本記事は情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの勧誘を目的とするものではありません。税制の適用や家計への影響について個別の判断が必要な場合は、税理士などの専門家にご相談ください。







