マフラーカッターの話を条文側から追いかけると、最初に分かるのは法令にも通達にも「マフラーカッター」という言葉が出てこないということです。
ただ、サイドステップのときのように「どこにも無い」で終わりませんでした。別の名前で、しかもかなりはっきりした形で名指しされていました。
結論を先に置きます。はみ出しの判定に使われている数字は50mmです。 そしてそれは、多くの記事が書いている「10mm」でも、車検証の±3cmでもありません。
通達には、別の名前で載っていた
探す場所は、自技第235号という通達の別紙です。「エア・スポイラ、ルーフ・ラック、ショック・アブソーバ、トレーラ・ヒッチ等別途定める自動車部品(指定部品)」が何を指すのかを、品目名で列挙している文書です。
そのⅠ「アクセサリー等の自動車部品」の2番目に、こうあります。
2. 原動機、排気系統関係の部品
リモコン・エンジン・スターター、エキゾースト・パイプ・チップ/エクステンション
エキゾースト・パイプ・チップ。排気管の先端に付ける筒です。エクステンションは延長する側。マフラーカッターは、この名前で指定部品に入っています。
気になるのは、同じ別紙のもっと後ろにこういう項目があることです。
Ⅱ 運行に当たり機能する自動車部品
5. 騒音防止装置関係の部品
(1)マフラー(2)排気管
マフラー本体と排気管は、Ⅱの「運行に当たり機能する自動車部品」の中の騒音防止装置関係に入っている。一方でカッターはⅠのアクセサリー等。同じ別紙の中で、棚が分かれています。
この分け方は、感覚としてはすごく納得がいきました。カッターは音を作る部品ではなく見た目の部品だ、という扱いが通達の構造そのものに出ている。音量の話とカッターの話を混ぜて書いている記事が多いのですが、役所側は最初から別の箱に入れていたわけです。
弱点を書いておくと、この別紙には品目名だけが並んでいて、寸法も材質も書いてありません。「載っている」ことが分かるだけで、「だから車検に通る」とは一言も書いていない。そこは次の節の話になります。
棚が違うと、車検証の扱いが変わる
指定部品に載っていると何が起きるのか。それは別の通達、自技第234号のほうに書かれています。
まず取付方法が3つに定義されています。
| 用語 | 定義(自技第234号 記1(1)) |
|---|---|
| 簡易な取付方法 | 手で容易に着脱できる取付方法 |
| 固定的取付方法 | 簡易な取付方法又は恒久的取付方法以外の取付方法 |
| 恒久的取付方法 | 溶接又はリベットで装着される取付方法 |
そのうえで記1(2)が、自動車検査証の記載事項(長さ・幅・高さ)の変更に「当たらない」場合を3つ挙げています。
| 号 | 内容 | 寸法の条件 |
|---|---|---|
| ① | 簡易な取付方法により自動車部品を装着した場合 | かからない |
| ② | 指定部品を固定的取付方法により装着した場合 | かからない |
| ③ | 指定部品を恒久的取付方法で装着、又は指定外部品を固定的・恒久的取付方法で装着した場合 | 長さ±3cm/幅±2cm/高さ±4cm |
ここが効きます。マフラーカッターは指定部品なので、ボルトやクランプで締め付けて付けた(=固定的取付方法)なら、②に当たって寸法の条件がかかりません。全長が何mm伸びても、記載事項の変更には当たらない扱いになります。
手で引っ張れば抜けるタイプなら①で、これも条件なし。
③に落ちるのは溶接したときだけです。溶接は恒久的取付方法なので、指定部品でも③の列に移って長さ±3cmの枠に入ります。「マフラーカッター 溶接 車検」というサジェストが出てくる理由は、たぶんここにあります。溶接は見た目も仕上がりも一番きれいなのに、制度上は一番条件が厳しくなる。
この±3cmがどの文書の何条から来ているのかは、Gクラスの背面タイヤを外す話で一度追いかけています。長さをcm単位でどう測るかもそちらに書いたので、繰り返しません。
「指定部品だから保安基準は免除」ではない
ここを飛ばすと話が全部ずれるので、先に置いておきます。自技第234号の本文に、こういう一文があります。
なお、本取扱い通達により自動車部品を装着した自動車の構造・装置に係る道路運送車両の保安基準…への適合性の判断に当たっては、当該自動車部品が装着された状態において保安基準の各条項に適合していることが必要であること、及び、本取扱い通達に基づき自動車部品を装着したことにより自動車の構造・装置が保安基準に適合していない場合にあっては、道路運送車両法…第54条第1項に基づく整備命令の対象となりうることを念のため申し添える。
つまり指定部品の話は「車検証の数字を書き換えなくていい」という手続きの話だけで、保安基準そのものは全部かかります。しかも適合していなければ整備命令の対象になりうる、とまで書いてある。
「指定部品だから大丈夫」という言い方は、だから半分しか合っていません。正確には「車検証の記載事項としては大丈夫。保安基準は別途かかる」です。
排気管の条文は、騒音の第30条ではなかった
では保安基準のどこがかかるのか。マフラーの話だから第30条(騒音防止装置)だろうと思って探すと、見つかりません。
排気管の条文は保安基準第31条第7項です。第31条は「ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置」という見出しの条で、第2項が排出ガスの性能、第3項が触媒などの発散防止装置。その第7項に、位置と取り付け方の話だけが独立して入っています。
7 自動車の排気管は、発散する排気ガス等により、乗車人員等に傷害を与えるおそれが少なく、かつ、制動装置等の機能を阻害しないものとして、取付位置、取付方法等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
「告示で定める基準」の中身は細目告示第197条第6項で、そこには〔排気管基準〕という見出しが付いていて、号は3つだけです。
| 号 | 内容(細目告示第197条第6項) |
|---|---|
| 一 | 排気ガス等によりナンバープレート(自動車登録番号標・車両番号標)の数字等の表示を妨げる位置に開口していないこと |
| 二 | 車室内に配管されていない等、排気ガス等の車室内への侵入により乗車人員に傷害を与えるおそれが少ないよう配管されていること |
| 三 | 接触や排気ガス等により自動車や積載物品が発火し、又は制動装置・電気装置等の機能を阻害するおそれのないものであること。なお、排気管の取付けが確実でないもの又は損傷しているものはこの基準に適合しないものとする |
出典: 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第197条(国土交通省)
ここに「はみ出し」の話はありません。3つのうち2つは排気ガスが人やナンバーに当たる話で、残り1つが発火・機能阻害と取り付けの確実性。位置や突出量の数字は一切出てきません。
「はみ出し」の50mmは、別の条文から来ている
ではどこに書いてあるのか。審査事務規程の7-63(排気管)を開くと、第7章側に5項目が並んでいて、その4番目にこうあります。
④ 自動車(大型特殊自動車を除く。)に備える排気管は、他の交通の安全を妨げるおそれのないものであること。
この場合において、次のいずれかに該当する排気管にあっては、この基準に適合するものとする。
ア 指定自動車等に備えられた排気管と同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられている排気管
イ 次に掲げる位置に備えられている排気管
(ア)長さ方向 … 自動車の最後端にならない位置であること。ただし、排気管部分を除いた場合の自動車の最後端からの突出量が水平距離で50mm以内の排気管については、この限りでない。
(イ)幅方向 … 自動車の最外側にならない位置であること。
探していた数字はこれでした。排気管部分を除いた場合の最後端から、水平距離で50mm以内。
そしてこの④だけ、根拠条文が他と違います。①②③⑤は細目告示の排気管基準(第41条・第119条・第197条の第6項)から来ているのに、④は保安基準第18条第1項第2号・細目告示第22条第2項・第100条第2項、つまり「車体の外形その他自動車の形状」の条から来ている。はみ出しは排気管の問題として扱われているのではなく、車体の形の問題として扱われているわけです。
幅方向のほうは数字がありません。「最外側にならない位置であること」だけ。ここは正直に書いておくと、長さ側にある50mmのような緩和が幅側には見当たりませんでした。横出しや斜め出しのカッターを考えている人には、こちらのほうが厳しい条件です。
Gに付ける場合、50mmはほとんど効かない
乗っているのはG400dで、カッターは付けていません。それでもこの50mmの条文を読んだとき、最初に浮かんだのは自分の車のことでした。「Gだとこれ、使う場面が来ないな」と。
条文が測っているのは「排気管部分を除いた場合の自動車の最後端からの突出量」です。基準になるのは車のいちばん後ろの点。
Gの場合、そのいちばん後ろの点は背面タイヤのカバーです。リヤバンパーよりさらに後ろにあります。つまり排気管がそこを超えて最後端になることは、形としてまず起きない。50mmという緩和を使う場面が来ないんです。
逆にリヤバンパーが最後端の車なら、50mmはそのまま効く実用的な数字になります。同じ部品を同じように付けても、車の形で判定の意味が変わる。これは条文を読むまで気づきませんでした。
数字で言うと、AMGラインのカタログ全長が4,660mm。全幅は1,985mmで、素のG400dより55mm広い仕様になります。メーカーが用意したグレード差だけで55mm動いているわけで、カッターの数十mmより、こちらのほうがよほど大きい。自分の車がどちらの数字なのかは、車検証を見ないと分かりません。
無改造の車の車検では、排気管は1項目しか見られない
さっきの7-63は第7章、つまり新規検査・継続検査・構造等変更検査の章です。審査事務規程には第8章という別の章があって、こちらは「改造等による変更のない使用過程車」が対象。普通に受ける車検はこちらです。
その8-63-1の中身は、1項目しかありません。
① 排気管は確実に取付けられており、かつ、損傷していないこと。(細目告示第197条第6項第3号関係)
第7章の5項目に対して、第8章は1項目。しかもその1項目は、さきほどの第197条第6項第3号のなお書きから来ています。条文の本文ではなく、ただし書きの後ろに付いた一文が、車検で実際に見られる唯一の項目になっている。
ただ、ここで終わると間違えます。第8章がいつ使われるのかが7-1(2)に書いてあって、こうなっています。
(2)…次に掲げる全てを満たすと認められる部分については、(1)の規定にかかわらず、第8章の規定を適用するものとする。
① 自動車又はその部品の改造、装置の取付け又は取外しその他これらに類する行為により、構造、装置又は性能に係る変更が行われていない部分
読んだとおりに取ると、装置を取り付けた「部分」は第8章の対象から外れます。車両単位ではなく部分単位の切り替えです。カッターを付けた排気管まわりについては第7章の5項目、つまり50mmと最外側の条件が入ってくる、という読み方になります。
これは条文の読み方なので、実際に検査場でどう運用されるかは別の問題です。そこは断定できません。ただ「車検では確実に付いているかしか見ない」という説明が、無改造の場合の話であることは押さえておいたほうがいいと思います。
音量のほうは、こちらでは扱いません。平成28年規制以降の相対値規制と、車検で消音器に対して見られる視認4項目は上の記事に書いてあります。カッターは騒音防止装置関係の棚に入っていないので、そもそも話が別です。
「脱落防止ワイヤー」という言葉は、どこにも出てこない
サジェストに「マフラーカッター 脱落防止ワイヤー 車検」が出てきます。落下防止ワイヤーも。
条文を機械的に検索しましたが、保安基準・細目告示・審査事務規程のいずれにも「脱落防止」「落下防止」「ワイヤー」という語は、排気管に関する箇所では出てきません。
代わりにあるのが、さっきの1項目です。「排気管は確実に取付けられており、かつ、損傷していないこと」。ワイヤーは、この「確実に取付けられており」を満たすための手段のひとつとして現場で使われているもので、法令が要求している部品ではない、というのが原文からの読み取りです。
逆に言えば、ワイヤーを付けても取り付けがゆるければ基準は満たさないし、ワイヤーが無くてもクランプが確実なら条文の文言は満たします。「ワイヤーを付ければ車検に通る」という話ではありません。
ここは製品を見るときの基準になります。市販品には落下防止ワイヤーが同梱されているものと、されていないものがあります。
マフラーカッター(クランプ締め付けタイプ・各社)
自分では使っていない部品なので、紹介は「こういうものがある」までにしておきます。見るべきは付属のクランプの本数と、内径が自分の車のテールパイプ径に合っているかです。
脱落防止ワイヤー(単品)
同梱されていない製品を選んだ場合の追加用です。条文が要求しているものではなく、取り付けの確実性を確保するための手段という位置づけになります。
走るのはほとんど都内なので、塩害や悪路でゆるむような環境ではありません。それでも下回りは、自分の目が届かない場所ではあります。付けたあとに緩んでいないかを確かめにくいのが、この部品のいちばん面倒なところだと思います。
「フロアライン」は、エアロパーツ側の言葉だった
「マフラーカッター 車検 フロアライン」というサジェストが2番目に出てきます。これは少し調べる必要がありました。
フロアラインという語は、細目告示第100条第2項の中で定義されています。ただしその場所はエア・スポイラの要件の中です。
…バンパの下端より下方にある部分であって、直径100mmの球体が静的に接触することのできる部分(鉛直線と母線のなす角度が30°である円錐を静的に接触させながら移動させた場合の接触点の軌跡(以下「フロアライン」という。)より下方の部分を除く。)の角部が半径5mm以上であるもの…
30°の円錐を車体に押し当てながら移動させたときの接触点の軌跡。要するに「下から見て、車の下面に入る境界線」を幾何学的に定義したものです。
この語は、排気管の基準(細目告示第197条第6項・審査事務規程7-63)には1度も出てきません。出てくるのはエア・スポイラ、つまりエアロパーツの角の丸みを判定するときだけです。
だから「マフラーカッターがフロアラインより下かどうか」という問いは、条文の構造としては空振りになります。カッターを判定するのは、フロアラインではなく最後端と最外側のほうです。エアロパーツの規定を排気管に当てはめようとしたときに生まれた問いなんだと思います。
よく書かれている「10mm以内」は、タイヤの数字だった
マフラーカッターの記事を読むと「著しく車外に突出していないこと(上方車体から10mm以内)」という書き方をよく見ます。この10mmの出どころも確認しました。
審査事務規程7-28(車枠及び車体)の中にあります。該当部分はこうです。
この場合において、専ら乗用の用に供する自動車…であって、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通りそれぞれ前方30°及び後方50°に交わる2平面によりはさまれる範囲の最外側がタイヤとなる部分については、外側方向への突出量が10mm未満の場合には「外側方向に突出していないもの」とみなす。
対象が「最外側がタイヤとなる部分」と明記されています。しかも車軸中心から前方30°・後方50°という角度の範囲が指定されている。タイヤのはみ出しを判定するための数字で、排気管には使えません。
この10mmを排気管の基準として書いている記事は、おそらくタイヤの条文を読み違えています。排気管の数字は50mmのほうです。
「平成29年に開口方向の基準が廃止された」は、向きが逆だった
もうひとつ、よく書かれている話があります。「平成29年の保安基準改正で、排気管の開口方向に係る基準が廃止された」というものです。
7-63のPDFには、現行の基準(7-63-1)と、平成29年10月9日以前に製作された自動車に適用される従前規定(7-63-5-1)が両方載っています。並べて読める形になっているので、確認しました。
まず、どちらにも「開口方向」という語がありません。現行にも従前規定にも出てこない。
そして従前規定の④イは、こう書かれています。
イ 歩行者等の通行を妨げるおそれのない排気管
これが古い基準です。妨げるおそれがないこと、以上。数字はありません。
現行はこれが、さきほどの「最後端にならない位置/突出量50mm以内/最外側にならない位置」に置き換わっています。切り替わりの根拠は適用関係告示第28条第171項で、境目は平成29年10月9日です。
つまり起きたのは廃止ではなく、曖昧な基準が数字の入った基準になったことでした。向きが逆です。しかも古い車のほうに曖昧な基準が残っているので、平成29年10月9日以前に製作された車は、いまでも「歩行者等の通行を妨げるおそれのない」という文言で判断されることになります。
正直なところ、ここは最初「廃止された」という説明を信じかけました。元の条文が両方載っているPDFを見つけられたのは運がよかったと思います。
光るタイプは、排気管ではなく灯火の話になる
LEDが入って光るマフラーカッターがあります。「光る マフラーカッター 車検」というサジェストもあります。
これは排気管の基準の問題ではなく、灯火の問題です。審査事務規程8-96(その他の灯火等の制限)が効いてきます。根拠は保安基準第42条・細目告示第218条第1項。
| 項 | 制限(8-96-1) |
|---|---|
| (1) | 側方灯・尾灯・制動灯など25の例外を除き、後方に表示する灯光の色が赤色である灯火を備えてはならない(橙色は照明部の上縁が地上2,500mm以下のもの) |
| (5) | 方向指示器・非常点滅表示灯など列挙されたものを除き、点滅する灯火又は光度が増減する灯火を備えてはならない |
| (11) | 列挙された灯火を除き、光度が300cd以下のものでなければならない |
出典: 審査事務規程 7-96、8-96 その他の灯火等の制限(最終改正 第75次)
車の後ろで赤く光るものを付けると、(1)にまっすぐ当たります。例外として挙がっている25項目は尾灯や制動灯、緊急自動車の警光灯などで、装飾用の灯火は入っていません。点滅するものは(5)。
ここは条文がかなりはっきりしているので、迷う余地が少ない部分だと思います。逆に、光らないただの筒であれば灯火の章は関係なくなります。
50mmと30mm、どちらが先に来るのか
最後に整理しておきます。この記事で出てきた数字は2つあって、実は食い違っています。
| 数字 | 何の基準か | 出どころ |
|---|---|---|
| 50mm | 排気管が最後端から突出していても「最後端にならない位置」とみなす範囲 | 審査事務規程 7-63-1④イ(ア) |
| 30mm(±3cm) | 車検証の長さの記載事項の変更に当たらない範囲 | 自技第234号 記1(2)③ |
保安基準の側で許される50mmのほうが、車検証の側で許される30mmより大きい。普通に考えると、保安基準はクリアしているのに車検証の記載変更が必要という状態が起きそうに見えます。
ただ実際には、そうなりません。マフラーカッターは指定部品なので、固定的取付方法で付けていれば記1(2)②に当たって寸法の条件が外れるからです。30mmの枠に入るのは③、つまり溶接したときだけ。
この食い違いが現実に問題になるのは、溶接で付けて、かつ突出量が30mmを超えて50mm以内のときです。保安基準上は問題ないのに、車検証の長さとしては記載事項の変更に当たるという、たしかに存在する隙間になります。該当する人は少ないと思いますが、溶接という選択肢を取るならここは知っておく価値があります。
記載事項の変更や構造等変更検査になると、手続きの手間と費用がかかります。外車の車検でいくらかかったかは、C43の初回車検の実額を別の記事に残してあります。
よくある質問
マフラーカッターを付けると車検に落ちますか
付けたこと自体で落ちる条文は見つかりませんでした。指定部品の別紙に「エキゾースト・パイプ・チップ/エクステンション」として名指しで載っていて、禁止されている部品ではありません。問題になるのは取り付けた結果で、見られるのは排気管が確実に取り付けられ損傷していないか(審査事務規程8-63-1①)、最後端・最外側になっていないか(同7-63-1④)です。
何mmまではみ出して大丈夫ですか
長さ方向は、排気管部分を除いた場合の自動車の最後端からの突出量が水平距離で50mm以内です(審査事務規程7-63-1④イ(ア))。幅方向は「自動車の最外側にならない位置であること」で、こちらに数値の緩和は見当たりませんでした。なお平成29年10月9日以前に製作された自動車は従前規定が適用され、その場合の基準は「歩行者等の通行を妨げるおそれのない排気管」という文言になります。
溶接で付けると車検に通らなくなりますか
通らなくなるわけではありませんが、扱いが変わります。溶接は自技第234号 記1(1)③の恒久的取付方法なので、指定部品であっても記1(2)③の列に入り、車検証の長さに対して±3cmという寸法条件がかかります。クランプ等で締め付ける固定的取付方法なら記1(2)②で寸法条件はかかりません。
脱落防止ワイヤーは必須ですか
条文が要求している部品ではありません。保安基準・細目告示・審査事務規程の排気管に関する箇所に「脱落防止」「落下防止」「ワイヤー」という語は出てきません。あるのは「排気管は確実に取付けられており、かつ、損傷していないこと」(審査事務規程8-63-1①、細目告示第197条第6項第3号のなお書き)だけです。ワイヤーはこれを満たすための手段のひとつという位置づけになります。
「車検対応」と書いてある製品なら安心ですか
その表示が何を根拠にしているのかは製品によって違うはずで、法令上の用語ではありません。確認したいのは自分の車の最後端がどこで、カッターがそこから何mm出るかのほうです。リヤバンパーが最後端の車と、Gクラスのように背面タイヤが最後端にある車では、同じ製品でも判定が変わります。
音量は変わりませんか
カッターは指定部品の別紙でⅠ「アクセサリー等」に分類されていて、マフラー本体と排気管が入っているⅡ-5「騒音防止装置関係の部品」とは別の棚です。騒音の基準そのものは保安基準第30条の側の話になるので、別の記事で扱っています。ただし消音器の騒音低減機構に手を加えるものであれば、そちらの基準がかかります。
光るマフラーカッターは車検に通りますか
後方に赤色の灯火を備えることは、審査事務規程8-96-1(1)で原則として禁止されています(25の例外に装飾用の灯火は含まれていません)。点滅するものは同(5)、光度が300cdを超えるものは同(11)に当たります。排気管の基準ではなく灯火の基準(保安基準第42条・細目告示第218条第1項)で判断される部分です。
まとめ
- 法令・通達に「マフラーカッター」という語は無い。名指しされているのは「エキゾースト・パイプ・チップ/エクステンション」で、自技第235号 別紙のⅠ-2(アクセサリー等の自動車部品/原動機、排気系統関係の部品)
- マフラー本体と排気管はⅡ-5(騒音防止装置関係の部品)で、別の棚。通達の構造の段階で、音の部品と装飾の部品が分けられている
- 指定部品なので、固定的取付方法なら車検証の寸法条件がかからない(自技第234号 記1(2)②)。溶接は恒久的取付方法なので③に移り、長さ±3cmの枠に入る
- ただし指定部品でも保安基準の適合は免除されない。適合しなければ道路運送車両法第54条第1項の整備命令の対象になりうると通達に明記されている
- 排気管の条文は保安基準第31条第7項(騒音の第30条ではない)。委任先の細目告示第197条第6項は3号だけで、位置や突出量の数字は無い
- 「はみ出し」の数字は50mm。排気管部分を除いた場合の自動車の最後端からの突出量が水平距離で50mm以内(審査事務規程7-63-1④イ(ア))。幅方向は「最外側にならない位置」で数値の緩和は無い
- 無改造の使用過程車の車検では、排気管は1項目しか見られない(8-63-1①「確実に取付けられており、かつ、損傷していないこと」)。ただし7-1(2)①により、装置を取り付けた部分は第8章の対象から外れる
- 「脱落防止ワイヤー」は条文に出てこない。要求されているのは取り付けの確実性であって、特定の部品ではない
- 「フロアライン」はエア・スポイラの要件の中の定義(細目告示第100条第2項)で、排気管の基準には出てこない
- よく書かれている「10mm以内」はタイヤの数字(審査事務規程7-28、最外側がタイヤとなる部分)。排気管には使えない
- 「平成29年に開口方向の基準が廃止された」は向きが逆。現行にも従前規定にも「開口方向」の語は無く、起きたのは「歩行者等の通行を妨げるおそれのない」という曖昧な基準が50mmという数字入りの基準に置き換わったこと
- 光るタイプは灯火の基準で見られる。後方に赤色は原則禁止、点滅は禁止、光度は300cd以下(審査事務規程8-96-1(1)(5)(11))
本記事は情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの勧誘を目的とするものではありません。引用した条文・告示・通達および審査事務規程は、2026年11月1日時点でe-Gov法令検索、国土交通省および独立行政法人自動車技術総合機構が公開している内容に基づきます。審査事務規程は最終改正が第13次(7-1)・第35次(7-63)・第72次(7-28)・第75次(7-96)の版を参照しています。保安基準・細目告示・通達・審査事務規程はいずれも改正されることがあります。第8章の適用範囲(7-1(2)①)についての記述は条文の文言からの読み取りであり、個別の車両に対する運用を保証するものではありません。全長4,660mm・全幅1,985mmは私のMercedes-Benz G400d(AMGライン)の公表値です。車検の合否、記載事項の変更や構造等変更検査の要否は、個別の車両状態および運輸支局・検査を行う事業者の判断によります。取り付けや申請の前には、指定自動車整備事業者・運輸支局などの専門家にご相談ください。
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