外車を買うか迷っている人が必ず引っかかるのが保険料の話です。「外車は保険が高い」と言われるので、私も買う前は身構えていました。
うちの実額を先に出します。Mercedes-AMG C43(W205型)を2019年3月に新車で買って、チューリッヒのネット専用自動車保険で契約したときの数字です。
| 年間保険料 | |
|---|---|
| 初年度 | 56,830円 |
| 2年目 | 37,950円 |
| 3年目(8等級) | 34,330円 |
3年で 22,500円 下がりました。車両保険は付けていません。対人・対物賠償を中心にした契約です。
高いと思うか安いと思うかは人それぞれだと思いますが、少なくとも私は「外車だから覚悟していた金額」よりはだいぶ低いところに落ち着きました。問題は、なぜこう動いたのかが契約書を見ても分からないことです。 そこを公式の資料で調べたのがこの記事です。
3年で22,500円下がった。ただし内訳は出せない
先に正直なところを書いておきます。初年度から2年目にかけての18,880円の下落を、私は分解できていません。
等級だけでは説明がつかないからです。無事故で1年経てば等級は1つ上がりますが、後述するとおり1等級ぶんの割引は年によってそこまで大きくありません。年齢条件、走行距離区分、初度登録後の経過期間、特約の入れ替え——動きうる要素が同時に複数あって、保険証券の数字だけからは切り分けられませんでした。
なので、この記事で「3年目に34,330円になったのは〇〇のおかげ」と言い切ることはしません。言えるのは、実際に払った金額がこう推移したという事実だけです。
そのうえで、保険料を決めている側の仕組みは公開されています。そちらを見ていきます。
「外車だから高い」ではなく、型式ごとにクラスが振られている
自動車保険の保険料には 型式別料率クラス という区分があります。損害保険料率算出機構が算出しているもので、車の型式ごとにリスクを評価してクラスを割り当てる仕組みです。
同機構の「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み」(2025年1月1日以降始期の契約)から、数字をそのまま引きます。
自家用乗用車は、クラスを1~17 の 17 クラスに区分しています。保険料はクラス1が最も安く、クラス 17 が最も高くなり、各クラス間の保険料率の較差は約 1.1 倍です。保険料の最も安いクラスと最も高いクラスの保険料率の較差は約 4.3 倍です。
ここが大事なところで、評価されているのは「輸入車かどうか」ではなく「その型式」です。 クラスは対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険の4つそれぞれに別々に設定されます。
そして同じ資料に、クラスの決め方がこう書かれています。
型式ごとに適用するクラスについては、その型式の直近の保険データに基づくリスク実態と、適用しているクラスが見合っているかどうかを確認して見直す「クラス見直し」を毎年1月に行います。
毎年1月に動くわけです。リスクが低ければ「−1」または「−2」、高ければ「+1」または「+2」。同じ車に乗り続けていても、自分とは関係ないところで保険料が動くということでもあります。
気になる点も書いておきます。この機構のクラスは参考純率であって、使うかどうかは各保険会社の判断だと同じ資料のQ&Aに明記されています。つまりクラスを調べても、保険会社が出してくる見積もりとぴったり対応するとは限らない。目安として使うものです。
新車がいちばん不利になる理屈
外車の保険が高いと言われる理由の一つが、この一文で説明できると思っています。
なお、新しく発売された型式については保険データの蓄積がないことから、自家用乗用車の場合には排気量や新車価格、発売年月などに基づきクラスを決定し(後略)
データがない型式は、排気量と新車価格で決まる。 排気量が大きくて新車価格が高い車は、実際の事故実績が分かる前の段階で高いほうに置かれることになります。輸入スポーツセダンはこの条件にほぼ全部当てはまります。
そして、その先があります。
ただし、より早期にリスクに見合った保険料とするため、保険データが蓄積された型式(発売後約3年が経過した型式)においては、リスクが低い場合に、その度合いによっては「-2」よりも大きく(「-3」、「-4」など)クラスを移動します。
発売から約3年でデータが溜まり、実態が良ければ通常より大きく下がる余地がある、という設計です。
うちの3年で22,500円という下がり方が、これで説明できるのかは分かりません。私は自分の型式のクラスが何年に何から何へ動いたかを追いかけていないので、断定できない。 ただ、新しい型式ほど暫定的な評価で始まるという構造があること自体は、公式資料に書いてあるとおりです。
もう一つ、同じ資料に補足の仕組みが書かれています。「衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の装着の有無」と「初度登録後経過期間」も料率区分として設けられている、と。安全装備の有無が保険料に効くルートが別にあるということです。
等級は6から始まって、1年に1つずつ
もう一本の軸が等級です。こちらは日本損害保険協会の資料にまとまっています。
- 契約者の事故実績に応じて 1等級〜20等級 に区分し、等級ごとに割増引率を定めている
- 初めて契約するときは6等級(または7等級)からスタート
- 事故がなければ翌年は1等級上がる
- 事故にあった場合は 1事故につき3等級下がる
- 同じ等級でも「無事故」と「事故有」で割増引率が分かれている(事故有係数適用期間・上限6年)
うちの3年目が8等級だったのは、この数え方どおりです。6等級で始まって、無事故で7、無事故で8。計算が合うので、少なくとも等級の部分は素直に上がっていました。
事故を1回やると3等級下がるうえに、下がった等級では「事故有」の割増引率が適用されます。保険を使うかどうかの判断は、修理代と保険料の増加ぶんを並べて考える必要があるわけです。小さな傷で使うと、あとから効いてきます。
車両保険を外した話
これは私の契約の話です。
C43のようなAMGクラスの高額車両には、ネット保険の車両保険がほぼ付帯できませんでした。それで対人・対物賠償中心に割り切って、車両保険を外しています。上の34,330円はその条件での金額です。
車両保険を付けたい場合は、代理店型の見積もりもあわせて取って比べたほうがいいと思います。私は「付けられなかったから外した」のであって、「外したほうが得だから外した」わけではありません。 ここは誤解されたくないところです。
外車のオーナーで車両保険を重視する人にとっては、私のこの数字はあまり参考になりません。条件が違いすぎます。
自分の型式でいくらになるかは、結局見積もりを取らないと分からない
上に書いたとおり、型式別料率クラスは参考純率であって、使うかどうかは保険会社ごとの判断です。同じ車・同じ等級でも、会社によって出てくる金額は揃いません。だから相場を知るには複数社に同じ条件で出させるのがいちばん早い、という結論になります。
一括見積もりのサービスを使うと、車種・等級・年齢条件などを1回入力すれば複数社ぶんが返ってきます。私自身はチューリッヒで直接契約していて、このサービスを使って乗り換えた経験はありません。使うかどうかは、いま払っている金額に納得できているかで決めればいいと思います。
※ 保険料は等級・年齢条件・使用目的・走行距離・車両状態・特約内容・型式により大きく変動します。本記事の金額は私の契約条件での実額であり、読者の実額とは一致しません(2026年8月時点)。本記事は情報提供を目的としており、特定の保険商品の勧誘を目的とするものではありません。契約内容の適否については保険会社または保険代理店にご確認ください。
見積もりを取る前に手元に用意しておくもの
同じ条件で比べないと意味がないので、先に揃えておくと早いです。
- 車検証(型式・初度登録年月・車台番号。型式別料率クラスを調べるのにも要ります)
- いまの保険証券(等級・事故有係数適用期間・特約の一覧)
- 年間走行距離の見込み(区分が変わると金額が動きます)
- 運転者の範囲と年齢条件(本人限定か、家族まで含めるか)
型式が分かれば、損害保険料率算出機構の型式別料率クラス検索で自分の車のクラスが調べられます。対人・対物・人身傷害・車両でそれぞれ何クラスなのかが出ます。見積もりが高く出たときに、車の側の要因なのか自分の条件の側なのかを切り分ける材料になります。
維持費全体の中で保険がどのくらいを占めるのかは、こちらに実額で書いています。車検やタイヤの金額と並べて見ると位置づけが分かりやすいです。
支払い方法の話も別に書きました。保険料はカードで払えるので、そこは素直に還元が乗ります。
よくある質問
輸入車というだけで保険料が上がるのですか?
損害保険料率算出機構の資料に「輸入車は割増」という区分は出てきません。評価されているのは型式ごとのリスク実態です。ただし、新しく発売された型式は保険データがないため排気量・新車価格・発売年月などでクラスが決まると明記されており、排気量が大きく新車価格が高い車はこの段階で高いほうに置かれやすい構造になっています。結果として輸入スポーツモデルが高くなりやすい、というのが私の理解です。
型式別料率クラスは自分で調べられますか?
調べられます。損害保険料率算出機構の型式別料率クラス検索で、車検証に書かれている型式を入力すると対人・対物・人身傷害・車両それぞれのクラスが出ます。ただしこれは参考純率で、実際に使うかどうかは各保険会社の判断だと同機構が明記しているので、見積もり金額と一対一で対応するものではありません。
3年目で34,330円は安いほうですか?
私の契約は車両保険を外した対人・対物中心の設計で、8等級のときの金額です。車両保険の有無だけで金額は大きく変わりますし、年齢条件や走行距離区分でも動きます。同じ車でも条件が違えば比較になりません。金額そのものより、車両保険を付けているかどうかを先に揃えて比べたほうが意味があると思います。
事故を起こしたら保険を使わないほうがいいのですか?
一律には言えません。日本損害保険協会の資料によれば1事故につき3等級下がり、下がったあとは「事故有」の割増引率が適用されます(事故有係数適用期間は上限6年)。つまり修理代を保険で賄う代わりに、その後の保険料が上がります。金額の大小によって答えが変わるので、実際の判断は契約している保険会社や代理店に試算してもらうのが確実です。
ネット型と代理店型はどちらがいいですか?
私はネット専用の商品で契約しています。ただしC43のようなクラスでは車両保険を付けられなかったので、車両保険を重視するなら代理店型もあわせて見積もりを取る必要があります。どちらが良いかは、車両保険を付けたいかどうかで先に分かれると思っています。
※ 本記事に記載した保険料は、私自身の契約条件(車種・等級・年齢条件・使用目的・走行距離・特約内容)における実額であり、同じ車種でも読者の実額とは一致しません。制度の説明は2026年8月時点で損害保険料率算出機構および一般社団法人日本損害保険協会が公開している資料に基づいています。制度の改定や各社の取扱いにより内容は変わることがあります。本記事は情報提供を目的としており、特定の保険商品の加入・解約・乗り換えを勧誘するものではありません。個別の契約内容の判断にあたっては、保険会社・保険代理店・ファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。





