C43の初回車検の請求書は、2行しかありませんでした。「MB2年点検A 作業費 47,916円」と「車検費用 79,750円」で、合計127,666円。
だから、あのとき発炎筒が交換されたのかどうかは、私には分かりません。無料で交換された部品のリストは記事に書き残してあるのですが、そこに発炎筒は入っていない。期限が切れていたのか、切れていなかったのかも、記録がない。
そこを調べ直すつもりで条文を開いたら、前提のほうが違っていました。「有効期限が切れると車検に落ちる」という話、車検で実際に当てられる基準のほうには、期限が出てこないんです。
3行でいうと
先に結論
① 「有効期限4年」はJIS D 5711の中の数字で、保安基準にも細目告示にも一度も出てこない
② 継続検査で当たる審査事務規程 第8章では、不適合の列挙が6号から2号に減っていて、JIS D 5711を引く号が落ちている
③ 第8章に残るのは「損傷し、又は湿気を吸収したため、性能の著しく低下した発炎筒」だけ。見られているのは期限ではなく状態
まず名前です。「発煙筒」ではありません
サジェストの上のほうに「発煙筒 発炎筒」「発煙筒と発炎筒の違い」が並ぶくらいなので、ここから片づけておきます。
正しいのは発炎筒。煙ではなく炎です。日本保安炎筒工業会のQ&Aに、そのままの質問と回答が載っています。
発炎筒?それとも発煙筒?どちらが正しいのですか?
発炎筒です。正式名称は「自動車用緊急保安炎筒」といい、製品性能は日本工業規格(JIS)で厳しく定められています。
煙を出す道具は別にあって、たとえば車中泊のときの排ガスの回り込みを調べる実験では、JAFが煙を焚いて車内への流入を見ています。あちらが発煙筒。赤い炎を出して後続車に見せるのが発炎筒です。名前が1文字違うだけで、やることが逆に近い。
備え付けの義務はある。ただし条文に「発炎筒」とは書いていない
根拠は道路運送車両の保安基準の第43条の2です。
自動車には、非常時に灯光を発することにより他の交通に警告することができ、かつ、安全な運行を妨げないものとして、灯光の色、明るさ、備付け場所等に関し告示で定める基準に適合する非常信号用具を備えなければならない。ただし、二輪自動車、側車付二輪自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車及び被牽引自動車にあつては、この限りでない。
(国土交通省「道路運送車両の保安基準 第43条の2(非常信号用具)」PDF。e-Gov法令検索の同条とも一致しています)
条文にあるのは「非常信号用具」という言葉だけで、発炎筒という単語はどこにも出てきません。発炎筒は、この非常信号用具の要件を満たす製品のひとつ、という位置づけです。だからLEDの製品でも要件さえ満たせば代わりになる。あとで出します。
もうひとつ、この条文には少し引っかかるところがあります。除外されているのが二輪・側車付二輪・大型特殊・小型特殊・被牽引の5つなのに、実際の検査で使う規程のほうでは小型特殊が抜けて4つになっている。小型特殊は検査を受けないので実害はないのですが、同じ内容を書いた文書が微妙にずれているというのは、このあと何度も出てきます。
ちなみに、備え付けが義務になったのは昭和43年7月。株式会社カーリットの解説ページによると、当初の目的は高速道路ではなく踏切でした。踏切上で動けなくなったときに列車へ合図を送るためのものだったそうです。用途があとから広がった装備、ということになります。
「有効期限4年」が、どこにも書いていない
ここが本題の入口です。
発炎筒には有効期限があって、4年です。これはあちこちに書かれています。カーリットは公式サイトで「発炎筒の有効期限は4年間です」と明記していますし、工業会も発炎筒の特性・注意事項でこう書いています。
車検の保安基準にはJIS規格が引用されており、JIS規格の中では有効期限は4年間と明記されております。
読み飛ばしそうになりますが、大事なのは「JIS規格の中では」の部分です。4年という数字が置かれているのはJIS D 5711「自動車用緊急保安炎筒」の中であって、保安基準でも告示でもない。
そして保安基準の側は、そのJISを引用しているだけです。細目告示の第220条の2項五に、こうあります。
JIS D 5711「自動車用緊急保安炎筒」の規格又はこれと同程度以上の規格の性能を有しない発炎筒
(国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第220条(非常信号用具)」PDFより)
工業会はこれを受けて、Q&Aで「具体的には有効期限が過ぎてしまった発炎筒がこれに該当します」と説明しています。引用の連鎖でつながっているわけです。告示 → JIS → 4年、と。
ひとつ正直に書いておくと、私はJIS D 5711の原文を読んでいません。JISの本文は日本規格協会の有償頒布で、無料で辿れる一次ソースがありませんでした。4年という数字について確認できたのは、工業会とメーカーがそう書いているところまでです。「JISに4年と書いてある」と自分で確かめたように書くわけにはいかないので、そこは伝聞として扱います。
車検で当たるのは告示ではなく、その下の規程だった
で、ここからが調べていていちばん驚いた部分です。
車検(継続検査)で保安基準に適合しているかを審査するのは、独立行政法人自動車技術総合機構(NALTEC)です。その審査の手順は審査事務規程という文書に書かれていて、全文がPDFで公開されています。ヘッドライトの計測方法がロービームへ移った件も、この規程を開いて確認しました。
非常信号用具の項は「7-98,8-98 非常信号用具(最終改正:第35次)」という1枚のPDFにまとまっています。1ページしかない、短い文書です。
その原文(PDF)を開くと、左右2段に分かれています。左が第7章、右が第8章。同じ「非常信号用具」の項が、2つ並んで書かれている。
第7章と第8章の見出しはこうです。
| 章 | 対象 |
|---|---|
| 第7章 | 新規検査、予備検査、継続検査又は構造等変更検査 |
| 第8章 | 新規検査、予備検査、継続検査又は構造等変更検査(改造等による変更のない使用過程車) |
括弧の中だけが違います。そして「7-1,8-1 適用」のPDFに、どちらを使うかが書いてあります。
7-1(2)(1)②、③又は④の場合において、次に掲げる全てを満たすと認められる部分については、(1)の規定にかかわらず、第8章の規定を適用するものとする。
① 自動車又はその部品の改造、装置の取付け又は取外しその他これらに類する行為により、構造、装置又は性能に係る変更が行われていない部分
② 構造又は取付に関する定量要件に影響を及ぼす損傷等が生じていない部分
③ 用途、車体の形状又は使用方法等の変更があった自動車においては、その前後で適用される基準に相違がない部分
(1)③が「法第62条第1項の規定による継続検査」、つまり普通の車検です。いじっていない、壊れていない部分は第8章で見る。 ノーマルのまま乗っている車の発炎筒は、まず間違いなくここに当たります。
第8章では、6号のうち4号が落ちている
では第7章と第8章で何が違うのか。並べます。
| 第7章 7-98-2 | 第8章 8-98-2(改造等の変更がない使用過程車) | |
|---|---|---|
| 引く告示 | 細目告示 第64条1項・第142条1項 | 細目告示 第220条1項 |
| 適合基準 | ① 夜間200mの距離から確認できる赤色の灯光を発するもの | (無し) |
| ② 自発光式のものであること | ① 自発光式のものであること | |
| ③ 使用に便利な場所に備えられたものであること | (無し) | |
| ④ 振動、衝撃等により、損傷を生じ、又は作動するものでないこと | ② 振動、衝撃等により、損傷を生じ、又は作動するものでないこと | |
| 不適合の列挙 | ① レンズの直径が35mm未満の赤色合図灯 | (無し) |
| ② 豆電球2.5V・0.3A相当未満の電球を使った赤色合図灯 | (無し) | |
| ③ マンガンR14P/アルカリLR6相当未満の電池を使った赤色合図灯 | (無し) | |
| ④ 灯器の損傷・レンズ面の著しい汚損・電池の消耗で性能が著しく低下した赤色合図灯 | ① 灯器の損傷・レンズ面の著しい汚損・電池の消耗で性能が著しく低下した赤色合図灯 | |
| ⑤ JIS D 5711の規格又はこれと同程度以上の性能を有しない発炎筒 | (無し) | |
| ⑥ 損傷し、又は湿気を吸収したため、性能の著しく低下した発炎筒 | ② 損傷し、又は湿気を吸収したため、性能の著しく低下した発炎筒 |
適合基準は4つから2つ、不適合の列挙は6号から2号。 そして落ちている号の中に、⑤のJIS D 5711を引く号が入っています。
さっき見たとおり、「有効期限が切れている=不適合」という説明はこの⑤を通って成り立っていました。その⑤が、普通の車検で当てる第8章には無い。
残っているのは②「損傷し、又は湿気を吸収したため、性能の著しく低下した発炎筒」です。判定されているのは期限ではなく状態で、しかも「性能の著しく低下した」という程度の話。印字されている日付を読んで機械的に落とす、という書き方にはなっていません。
検索の上位に並ぶ記事をいくつか開いてみたのですが、結論は同じで「期限切れでも車検は通る」。ただ、開いた範囲では、この規程に触れているものがありませんでした。JISに4年と書いてある、保安基準で決まっている、というところまでで止まっている。理由の部分が抜けたまま結論だけ流通している状態です。
念のため断っておくと、これは「期限が切れていても大丈夫です」という話ではありません。車検を通すという目的と、実際に路上で火が点くかどうかは別の話です。そこは分けて考える必要があります。
告示のほうも、新型車と使用過程車で条文が違った
規程だけの話かと思って告示も並べてみたら、こちらもずれていました。
細目告示の非常信号用具の条は、3本あります。第64条・第142条・第220条。それぞれ新型車・継続生産車・使用過程車に対応していて、同じ装置の基準が3回書かれている構造です。この「3本立て」自体はドラレコの窓ガラスの条でも見た形なので、細かい話は別記事に譲ります。
差が出たのは第3号です。第64条(新型車)だけ、続きがありました。
三 使用に便利な場所に備えられたものであること。この場合において、次に掲げるものは、この基準に適合しないものとする。
イ 運転者席又は運転者の乗降口において直接確認できない箇所(ドアポケット、グローブボックス等であって、他の物品の収納等により直接確認できなくなるおそれのある箇所を含む。)に備えられたもの(運転者に当該箇所を認知させるためのラベルの貼付等の措置が講じられている場合は除く。)
ロ 容易に取り外しができないもの
(国土交通省「細目告示 第64条(非常信号用具)」PDFより)
グローブボックスに放り込んで荷物で埋もれる、というのがはっきり名指しでNGになっています。ただしラベルを貼るなどして運転者に場所を知らせてあるなら除く、という逃げ道つきで。
そして第142条と第220条には、このイとロがありません。「使用に便利な場所に備えられたものであること。」で文が終わっている。
PDFのヘッダーを見ると理由がなんとなく見えます。第64条は【2005.9.26】、第142条と第220条は【2003.9.26】。新型車の基準だけが2005年に細かくなって、すでに走っている車の側は2003年の文のまま残った、という形です。
つまり、新しく型式指定を受ける車には「グローブボックスに入れっぱなしにするな」が効いていて、いま走っている車の車検ではその第3号ごと審査項目から落ちている。同じ装置なのに、要求の細かさが3段階に分かれているわけです。ここまで来ると、さすがに整理されすぎていない気もします。
工業会は「期限切れは交換対象」と書いている
ここは食い違ったまま出します。片方だけ書くとフェアではないので。
日本保安炎筒工業会のQ&Aには、こうあります。
道路運送車両の保安基準第43条の2において、JIS D5711「自動車用緊急保安炎筒」の規格又はこれと同程度以上の規格の性能を有しない発炎筒は、保安基準に適合しないものとし、交換の対象になっています。具体的には有効期限が過ぎてしまった発炎筒がこれに該当します。
さらに別のQ&Aでは「発炎筒は保安部品ですので、車検時のチェックで有効期限が次回の車検までない場合には交換をしてください」とも書かれています。
規程の側を読むかぎり、継続検査で当てられる基準にJISの号は入っていない。けれど業界団体は「期限切れ=交換対象」と説明している。どちらも公開されている文書で、読み方が揃っていません。
私の解釈を書いておくと、工業会は告示の条文(第220条の2項五は、たしかに存在します)を根拠にしていて、規程で審査項目が絞られていることまでは触れていない、ということだと思います。「基準に適合していない状態」と「検査で落とされる状態」は同じではない、という話です。整備工場が交換を勧めてくるのも、この差を埋める側に立っているからでしょう。
なので、車検の見積もりに発炎筒の交換が入っていても、それは水増しではありません。落ちるから換えるのではなく、換えたほうがいい理由が別にあるというだけです。
そのうえで、期限が切れているものをどうするか。工業会もカーリットも、交換先として挙げているのは「お近くのカーディーラー、カーショップ」です。自分で買って差し替えることもできます。ブラケットの形は車種で違いますが、本体の寸法は工業会の資料によると直径約30mm・長さ約130mmで共通です。
自動車用緊急保安炎筒(発炎筒)
直径約30mm・長さ約130mm。カーリットの製品仕様では赤色炎を5分以上、160カンデラ以上で燃焼するとされています。期限は本体に印字されています。
検査場に入れる前に、見える場所に出しておく
審査項目からは落ちていても、検査場に持ち込むときの状態については別に決まりがあります。
審査事務規程の第4章、4-1(2)①に、受検車両をどういう状態にしておくかが並んでいます。泥や雪が付いていないこと、車台番号が確認できること、といった項目に混じって、オにこうあります。
オ 座席、座席ベルト、非常信号用具及び消火器等が確認できる状態
多くの車は助手席の足元に専用ブラケットで付いているので、普通に乗っていれば問題ありません。困るのは、外して荷室にしまってあるとか、シート下の荷物に埋もれているときです。「基準に適合しているかどうか」以前に、確認できないと話が進まない。
ユーザー車検で持ち込むなら、荷物を降ろすついでに位置を見ておく。これだけです。ディーラーや整備工場に出すなら向こうがやります。
LEDに替えても車検は通るのか
通ります。しかもこれ、国土交通省が自分で書いています。
令和3年2月17日の報道発表「発炎筒の誤使用に注意!~車両火災になることがあります~」がそれです。駐車中に幼児が発炎筒をさわっているうちに発火させ、車に燃え移って全焼した事故を受けて出されたもので、注意事項が5つ並んでいます。そのうちトンネルに関する項目の脚注に、こうあります。
※火気を使用しないLEDを用いた非常信号用具も発炎筒の代わりに使用することが可能です。
保安基準の条文が「非常信号用具」としか書いていないのは、まさにこのためです。製品の種類ではなく、要件を満たすかどうかで決まる。
LED側の利点ははっきりしています。有効期限がない。電池を替えれば繰り返し使える。火を使わないので、燃料が漏れている場所やトンネルの中でも使える。同じ報道発表は、トンネル等の煙がこもる場所では発炎筒を使わず非常点滅表示灯等を使うようにとも書いていて、発炎筒が使えない場面が実際にあることを認めています。
ただ、工業会は真っ向から反論しています。特性・注意事項のページに、約10m先から見たLED信号灯と発炎筒を並べた写真を載せたうえで、「他の非常信号用具と比較するとその差は歴然です」と書いている。発炎筒は昼間でも約600m先から、夜間なら約2km先から視認できる、と。
数字だけ見ると、確かに差があります。LED側の代表的な製品であるエーモンの非常信号灯は「夜間200m先から視認可能」を仕様として掲げていて、これは細目告示が求める水準そのもの。基準は満たすが、炎の2kmには届かないという位置づけです。
どちらを選ぶかは、何を心配しているかで変わると思います。子どもが乗る車で、誤発火のほうが怖いならLED。高速道路で見つけてもらえるかを重く見るなら発炎筒。両方積んでおくのがいちばん確実ですが、そこまでやる人は少ないでしょうね。
LED非常信号灯(発炎筒の代替品)
車検対応をうたう製品は「国土交通省保安基準適合品」の表示があります。電池交換式で有効期限はなく、火を使わないためトンネル内でも使えます。夜間の視認距離は発炎筒より短いので、そこは割り切りが要ります。
発炎筒を積んでいても、三角表示板の代わりにはならない
ここは混ざりやすいところです。発炎筒と停止表示板(三角表示板)は、まったく別の法律の、別の義務です。
| 発炎筒(非常信号用具) | 停止表示器材(三角表示板) | |
|---|---|---|
| 根拠 | 道路運送車両の保安基準 第43条の2 | 道路交通法 第75条の11第1項 |
| 義務の中身 | 車に備えておくこと | 停止しているときに置くこと |
| 効く場所 | 常時(車に積んでいる状態) | 高速自動車国道等の本線車道等・路肩・路側帯 |
| 車検 | 見られる | 見られない(積載義務ではない) |
| 罰則 | 整備不良として道交法の対象 | 五万円以下の罰金(法第120条第1項第13号) |
道交法第75条の11第1項は、本線車道等で運転できなくなったときに「政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない」と定めています。その政令が施行令第27条の6で、置くものが指定されています。
一 夜間 内閣府令で定める基準に適合する夜間用停止表示器材
二 夜間以外の時間 内閣府令で定める基準に適合する昼間用停止表示器材(当該自動車が停止している場所がトンネルの中その他視界が二百メートル以下である場所であるときは、前号に定める夜間用停止表示器材)
置くべきものは「停止表示器材」であって、発炎筒ではありません。発炎筒を焚いても、この表示義務を果たしたことにはならないわけです。逆に、三角表示板を積んでいても発炎筒の代わりにはならない。役割が違います。
しかも三角表示板のほうは車検で見られません。積んでいなくても車検は通り、高速で止まったその瞬間に初めて義務が発生する。そして罰金は五万円以下です。順番が逆というか、車検で見てくれるほうは持っていて当たり前で、見てくれないほうが罰金つきという構造になっています。
高速道路で止まる原因が何かは、JAFの救援データを別記事で年度ぶん読みました。一般道と高速道路で1位が違うので、そちらもどうぞ。
停止表示板(三角表示板)
高速道路等で停止したときに置くもの。車検では見られないので、積んでいないまま気づいていない車もあります。夜間用・昼間用の基準は内閣府令で別に定められています。
外した1本は、燃えるゴミには出せません
交換すると、期限切れの発炎筒が1本手元に残ります。これが地味に厄介です。
工業会の説明はこうです。
廃発炎筒は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従い処分して下さい。
(1) 個人の場合 各自治体にお問合せの上、自治体の指示に従って処分して下さい。処分が出来ない場合は、当工業会までお問合せ下さい。
(2) 事業者の場合 産業廃棄物としてお近くの産業廃棄物処分業者にお問合せ下さい。
そのうえで「廃発炎筒は火薬類取締法が適用されます」と付け加えられています。(日本保安炎筒工業会 廃棄処理に関する情報より)
工業会は広域回収システムも運用していますが、これは個人向けではありません。廃棄処理に関するQ&Aによると、条件が3つあります。
- 未使用のものに限る(使ったあとの筒は回収してもらえない)
- 広域認定制度を取得している2社(株式会社カーリット・国際化工株式会社)の製品のみ
- 1箱=100本入りの専用回収箱を購入して、それに詰めた場合のみ
100本です。個人で出す数ではありません。回収システムの案内ページにも「個人のお客様からは、お受けできません」とはっきり書かれています。
現実的な出口は、交換した店にそのまま引き取ってもらうことでしょう。ディーラーやカー用品店で新品に替えれば、古いほうは店側が事業者として処理します。自分で買って自分で差し替えると、この1本が手元に残る。ここは自分で交換することの、地味だけれど実際に効いてくるデメリットです。
自治体に聞くという選択肢もありますが、火薬類の扱いなので引き取ってもらえるとは限りません。工業会も「処分が出来ない場合は」という前提で書いています。
私の請求書からは、発炎筒のことが分からない
最初に戻ります。
2019年3月に買ったC43の、新車から3年目の初回車検。ヤナセに出して、支払いは127,666円でした。その記事に請求書の中身を書いてありますが、項目は「MB2年点検A 作業費 47,916円」と「車検費用 法定費用+諸費用 79,750円」の2行だけです。
無料で交換された部品は列挙してあって、エンジンオイル・オイルフィルター・ワイパー・ダストフィルター・エアクリーナーエレメント・スパークプラグ。発炎筒はこの中に入っていません。
なので、あのとき発炎筒がどう扱われたのかは分かりません。交換されて79,750円の中に紛れているのか、期限が残っていて何もされなかったのか。自分の記事のどこにも書いていないので、いま調べようがない。
この記事を書くにあたって公開済みの記事を全部検索してみたのですが、「発炎筒」も「非常信号」も1件も出てきませんでした。維持費については実額を細かく残してきたつもりでいて、保安部品については一度も書いていなかったわけです。
車検の費用を比べるとき、多くの人が見るのは総額と法定費用の差だと思います。ただ、実際に何が交換されたかは、そこには出てきません。2行にまとまった請求書は、比べやすいけれど後から追えない。 そこが今回いちばん効きました。
よくある質問
Q. 有効期限が切れた発炎筒でも、車検は通りますか
継続検査で当てられる審査事務規程 8-98-2 に、JIS D 5711を引く号がありません。残っているのは「損傷し、又は湿気を吸収したため、性能の著しく低下した発炎筒」で、判定されているのは期限ではなく状態です。ただし最終的に判断するのは検査を行う側なので、確実な答えが要るなら受検先に確認してください。日本保安炎筒工業会は「期限切れは交換の対象」という立場を取っています。
Q. 有効期限はどこを見れば分かりますか
発炎筒の本体に印字されています。カーリットは公式サイトで「発炎筒の有効期限記載部分を確認!」として、本体のどこに書かれているかを案内しています。多くの車は助手席の足元に専用ブラケットで付いているので、そこから抜いて見ることになります。
Q. 4年という数字は、どの文書に書かれていますか
JIS D 5711「自動車用緊急保安炎筒」です。保安基準や細目告示に4年という数字は出てこず、告示はこのJISを引用しているだけです。なおJISの本文は日本規格協会の有償頒布で、今回は原文まで辿れていません。4年という数字は、日本保安炎筒工業会と株式会社カーリットの記載に基づいています。
Q. LEDの非常信号灯に替えても問題ありませんか
国土交通省が令和3年2月17日の報道発表で「火気を使用しないLEDを用いた非常信号用具も発炎筒の代わりに使用することが可能です」と明記しています。保安基準の条文も「非常信号用具」としか書いていないため、要件を満たす製品であれば種類は問われません。購入時は「保安基準適合品」の表示があるものを選んでください。
Q. 発炎筒があれば、三角表示板は積まなくてよいですか
いいえ。別の義務です。発炎筒は道路運送車両の保安基準による備え付けの義務、三角表示板は道路交通法第75条の11による表示の義務で、高速道路等で停止したときに置くものです。施行令第27条の6が指定しているのは停止表示器材なので、発炎筒では代用できません。罰則は五万円以下の罰金です。
この記事で確認した文書
- 道路運送車両の保安基準 第43条の2(国土交通省・PDF)
- 細目告示 第64条(新型車・PDF)/第142条(継続生産車・PDF)/第220条(使用過程車・PDF)
- 審査事務規程 7-98,8-98 非常信号用具(NALTEC・PDF)
- 審査事務規程 7-1,8-1 適用(NALTEC・PDF)
- 審査事務規程 第4章(NALTEC・PDF)
- 発炎筒の誤使用に注意!(国土交通省 令和3年2月17日 報道発表)
- 道路交通法(e-Gov法令検索)/道路交通法施行令(同)
- 日本保安炎筒工業会 Q&A/発炎筒の特性・注意事項/廃棄処理に関する情報
- 株式会社カーリット 発炎筒について
いずれも2026年8月27日に取得して本文を確認しています。条文や規程は改正されるので、実際の受検前には最新版をご確認ください。
※ 本文に出てくる127,666円・47,916円・79,750円は、2019年式C43(W205型)の初回車検で筆者が実際に払った金額であり、当時のものです。2026年8月時点の法定費用とは水準が違います。停止表示器材の罰則(五万円以下の罰金)は、道路交通法第120条第1項第13号の2026年8月27日時点の条文によります。発炎筒・LED非常信号灯・停止表示板の価格は販売店や時期によって変わるため、本文では金額を書いていません。
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