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タイヤの保管で「守らなければならない」のは2つだけだった|縦置き・横置きはそこに入っていない

タイヤとホイールのクローズアップ。外したタイヤの保管方法を扱う記事のアイキャッチ Car|車
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冬になると年に何度か、東京から群馬・新潟・福島・長野のあたりへ滑りに行きます。ただC43に乗っていたころは布製のチェーンで済ませていたので、正直に言うと、4本を外して半年しまうという話は自分の手元の話ではありません。

それでも今回これを調べたのは、前の記事で「いつ履いて、いつ外すか」を平年値まで戻って確認したときに、外したあとの話が宙に浮いたままだったからです。

で、調べ始めてすぐ引っかかりました。出てくる記事はどれも似た内容で、洗って乾かす、空気圧を半分に落とす、ホイール付きなら横、ホイールなしなら縦。並んでいる項目はほぼ同じなのに、どれが守らなければいけないことで、どれが「そうしたほうがいい」なのかを分けて書いたものが見当たらない。

そこで業界団体の刊行物のほうを開きました。一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)『自動車用タイヤの選定、使用、整備基準 2023 PC編』(PDF)です。これは業界の自主基準で、書き方が2段構えになっています。「遵守しなければならない」と書かれた基準本体と、その下にぶら下がる解説。 分けて読むと、話がだいぶ変わりました。

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遵守事項として書かれているのは、2項目しかない

第2部 第1章の「7. タイヤ等の保管」は、こう始まります。「タイヤ等の保管は次の事項を遵守しなければならない。」続くのは2つだけです。

基準本体(遵守しなければならない)
(1) 直射日光、雨及び水、油類、ストーブ等の熱源及び電気火花の出る装置を避けて保管すること。
(2) バルブにはバルブキャップを取付けて保管すること。

出典: JATMA『自動車用タイヤの選定、使用、整備基準 2023 PC編』第2部 第1章 7(2026年8月時点)

以上です。縦置きも横置きも、空気圧を半分にするという話も、洗って乾かすという話も、基準本体には一行も出てきません。

そして逆に、(2)のバルブキャップが基準側に入っている。 ここは意外でした。今回まとめて読んだ解説記事のなかで、保管の必須項目としてバルブキャップを挙げているものは、ほとんど無かったからです。バルブは空気の出入口で、そこにゴミや水分が入ったまま次のシーズンに組み付けることになるので、言われてみればそれはそうだよなという話ではあります。

タイヤ バルブキャップ

もうひとつ気づいたことがあります。JATMAは同じ内容を一般向けのWebページにも載せているのですが、そちらの「使用・保管上の注意」は、こう1文あるだけです。

タイヤを保管する場合は、直射日光、雨及び水、油類、ストーブ類の熱源及び電気火花の出る装置に近い場所などを避けてください。

(2)のバルブキャップが落ちている。 無料で読めるほうだけ見ていると、2つあるうちの1つしか目に入らない構造になっていました。ここは正直、Web版のほうも揃えておいてほしいところです。

縦か横かは、基準ではなく「お奨め」の側にある

では置き方の話がどこに書いてあるかというと、基準本体の下、「タイヤの適正な保管方法について」という解説パートです。文末が全部「お奨めします」になっているので、性格が違うことは読めば分かります。

内容を整理するとこうなります。

状態 置き方 理由(原文の要旨)
ホイールを付けたまま 横積み/空気圧は使用時の1/2程度に ゴムやコードの緊張状態を和らげるため
タイヤ単体(ホイールなし) 縦に保管 横積みはタイヤサイド部分に負担がかかり、変形の恐れがあるため

出典: JATMA『自動車用タイヤの選定、使用、整備基準 2023 PC編』第2部 第1章 7 解説(2026年8月時点)

つまりホイールの有無で、答えが逆になる。 ここが「タイヤの保管は縦置き」「いや横置き」という話が噛み合わない理由でした。どちらも正しくて、条件が違うだけです。

メーカー側も同じ立て付けで、ブリヂストンの公式ページはもう少し踏み込んで、ホイール付きなら定期的に上下を入れ替える、ホイールなしなら定期的に回して接地面を変える、と書いています。床に直接置く場合は段ボールなど厚みのあるものを敷く、という話も出てきます。これはタイヤに配合されている薬品がにじみ出て床を汚すことがあるためで、タイヤ側ではなく床側を守る話です。

タイヤラック 4本

ひとつ書いておくと、ラックを使うかどうかまでは一次情報のどこにも書かれていません。あれは置き方を守りやすくする道具であって、それ自体が基準で求められているものではない、という理解が正確だと思います。

空気圧を半分にする話には、書かれていない後半がある

「保管中は空気圧を1/2程度に落とす」はよく見かけます。実際JATMAにもブリヂストンにも書いてあります。ただ同じ文の後ろ半分が、記事によっては落ちている。

原文はこうです。空気圧は使用時の1/2程度にして横積み保管することをお奨めします、と書いたうえで、「なお、使用する際は、忘れずに自動車製作者又はタイヤ製作者の指定空気圧に調整して下さい」と続きます。落としたら戻す、までが1セットということです。

ここに、もうひとつ効いてくる数字があります。同じ刊行物の空気圧の章に、こう書かれています。

タイヤの空気圧は自然漏洩により低下します。使用条件等によって差異があり一定ではありませんが、1ヶ月で5%程度低下します。

半年しまうと、この5%が積み上がります。単純に0.95を6回かけると0.735なので、入れっぱなしでも約26%下がる計算になります。ただしこれは私が公表値を6回かけただけの計算値で、JATMA自身が「一定ではありません」と明記している点は押さえておいてください。それでも、1/2に落としたつもりの空気圧が、シーズン明けにはそれ以下になっているという向きの話であることは変わりません。

戻すときの基準も決まっていて、点検は最低1ヶ月に1度、指定空気圧を基準として0〜+20kPaの範囲内で調整する、とあります。エアゲージについても一言あって、長期間使っていると正確性が確保できなくなる場合がある、不正確なエアゲージの使用はタイヤに悪影響を及ぼす可能性がある、と書かれていました。家に転がっている古いゲージをそのまま信じるな、ということですね。

エアゲージ タイヤ 空気圧

なお、ピンを押して空気を抜く作業自体はブリヂストンのページに書かれている程度のことですが、抜くこと自体は基準で求められていません。 迷うなら触らずに置いて、履くときに指定空気圧へ入れ直すほうが事故は少ないと個人的には思います。

屋外・物置・ベランダは、4つの条件に当てはめるだけ

サジェストを見ると、置き場所の悩みがはっきり出ています。屋外、物置、ベランダ、倉庫。ただ、判定に使える材料は基準の(1)だけなので、意外とあっさり片が付きます。

避けるものは4つ。直射日光/雨及び水/油類/ストーブ等の熱源および電気火花の出る装置です。場所の名前で可否が決まるのではなく、その場所がこの4つに当たるかどうかで決まります。

置き場所 基準の4条件で見ると
屋外(軒下・駐車場の隅) 直射日光と雨に直接あたる。遮光・防水のカバーで塞げるかが分かれ目
ベランダ 同上。加えて日照時間が長い面だと条件が厳しくなる
物置・倉庫 日光と雨は塞げる。油類や電動工具などを同居させていないかを見る
屋内(土間・ガレージ) 4条件は満たしやすい。床の汚れ対策として敷物を挟む

ブリヂストンは、ホイールを外してタイヤ単体で保管する場合は中に水や異物が入らないように注意し、涼しく暗い場所で専用のカバーをかけて保管することが望ましい、としています。屋外に置かざるを得ないなら、実質ここが最低ラインになります。

タイヤカバー 屋外 防水

ここで一点、はっきりさせておきたいことがあります。「オゾンで劣化するからエアコンの室外機の近くは避けろ」という説明を複数の記事で見かけましたが、JATMAの刊行物を全文検索してもオゾンという語は出てきませんでしたし、ブリヂストンの公式ページにも書かれていません。 基準に書いてあるのは「電気火花の出る装置」までです。同じように、保管に適した温度や湿度の具体的な数値も、一次情報には見つかりませんでした。 数字が欲しくなる場所ですが、無いものは無いと書いておきます。

袋やラップで包むかどうかも同様で、サジェストには出るのに、JATMAにもブリヂストンにも記載がありません。ここは各自の判断でいいと思います。ただつや出し剤については記載があって、ひび割れ等に有害なものもあるので使用後に悪影響が出たら使用を止めるように、と書かれています。しまう前にピカピカにしてから、というのは少なくとも推奨されている行為ではありません。

どのくらいの期間なら平気なのか

これは新品と使用済みで話が分かれます。

ブリヂストンは自社のテスト結果として、適正に保管された乗用車用夏タイヤは3年間は同等の性能を保つこと、新品のスタッドレスも同じく3年間は同等の性能を保つことを公表しています。あわせて、スタッドレスの使用開始後の性能保証は50%摩耗(プラットホーム露出)まで、とも書かれています。

一方、年数そのものについてはJATMAの整備基準側に記述があります。

年数 基準に書かれていること
使用開始後5年以上 継続使用に適しているか、すみやかに販売店等での点検を受けることをお奨め(スペアタイヤも同様)
製造後10年 外観上使用可能に見えても、新しいタイヤに交換することをお奨め

出典: JATMA『自動車用タイヤの選定、使用、整備基準 2023 PC編』第3部 第4章 7(2026年8月時点)

ここで見落とされがちなのが、この2つに付いている注記のほうです。原文には、10年という年数はあくまで目安であって実際の使用期限を示すものではないこと、環境条件・保管条件・使用方法によっては10年を経過していても使える場合もあれば経過していなくても使えない場合もあること、そして5年・10年のいずれも各メーカーや販売店による品質保証期間・期限を示すものではないことが、はっきり書かれています。

つまり年数は入口の目安で、判断そのものは現物を見ないと下りない。 ここを「10年でアウト」とだけ覚えてしまうと、7年目で傷んでいるタイヤを見逃すほうに転びます。

製造年週の読み方も同じページにあります。2000年以降の製造番号なら下4桁で、たとえば「1220」は12週目の2020年製。1999年以前は下3桁でした。手元のタイヤがいつ作られたものかは、これで分かります。

しまうものの値打ちを考えると、この確認は先にやっておいたほうがいいと思っています。私はC43で、純正のコンチネンタルからミシュランのPilot Sport 4に履き替えたことがあるのですが、あれこれ比べて決めたタイヤを、置き方を間違えて縮めるのはさすがにもったいない。

自分で置くか、店に預けるか

置き場所が無い場合の答えとして、保管サービスがあります。サジェストでも「保管サービス」「保管料」「保管料金」がまとまって出てくるので、料金を知りたい人は多いはずです。

ところが、全国一律の料金は公表されていません。 ブリヂストン系列のタイヤ館は公式ページに「地域(店舗)によってお預かり料金やお預かり条件が異なりますので、ご留意願います」と明記しています。一部店舗では取扱いがないこと、預かりとは別にタイヤ交換工賃がかかること、次のシーズンの交換は倉庫からの移送があるため事前連絡が必要なことも、同じページに書かれています。保管そのものは倉庫業登録倉庫への取り次ぎという形だそうです。

なので、ここは調べても数字が出ないところで、最寄りの店に聞くのが唯一の方法になります。ネットで見かける金額は特定店舗の例か、時期の古いものだと思っておいたほうがいいです。

私自身はタイヤをネットで買って、近所の整備工場に取り付けだけ頼むやり方をとってきました。自分でショップを探して、自分で工場に電話して、日程を合わせる。手間はかかりますが、そのぶん費用は抑えられます。

ただ、このやり方は保管の問題を何も解決していません。 私の場合、前輪2本の交換が20,000km手前で来たという具合で、季節ごとに4本を入れ替えるのとは事情が違います。4本を年2回入れ替える人は、交換の費用に加えて置き場所という固定費を抱えることになる。保管サービスの料金は、その固定費を外に出す値段だと考えると比較しやすいと思います。

そしてもう一段前に戻ると、そもそも2セット目を持たない選択もあります。年に何度かの遠征なら布製チェーンで十分に行ける、というのは以前に書いたとおりで、行く回数と行き先が限られているなら、置き場所ごと発生させないという手はあります。

もっとも、これは雪道に入る頻度が低い人の解で、毎週のように行く人には通用しません。規制の内容によっては布製チェーンで通れない区間もあるので、そこは前の記事で条文まで確認しています。

結局、何をすればいいのか

読み終えて自分用にまとめると、こうなりました。

性格 やること
基準(遵守) 直射日光・雨や水・油類・熱源や電気火花の出る装置を避ける/バルブキャップを付ける
お奨め ホイール付きは横積みで空気圧を1/2程度に/タイヤ単体は縦置き/履くときは指定空気圧に戻す
メーカーの補足 汚れを落として乾かす/床には敷物/単体保管はカバーをかけ、水や異物を入れない
年数の目安 新品なら適正保管で3年/使用開始5年で点検/製造10年で交換(いずれも目安で、保証期間ではない)
一次情報に無いこと オゾン、適正な温度・湿度の数値、袋やラップの是非、保管サービスの全国料金

項目数としては、世の中に出回っている「保管のコツ10選」より少ないです。ただどれが守るべき線で、どれが好みの範囲なのかが分かるだけで、判断はだいぶ楽になりました。

よくある質問

ホイール付きのまま縦置きにしてはいけませんか

JATMAが「お奨め」しているのはホイール付きなら横積み、タイヤ単体なら縦置きで、縦置きを禁止する記述はありません。ブリヂストンは縦置きだとホイールの重さで接地面が変形する可能性があると説明しています。スペースの都合で縦にするなら、定期的に向きを変えて同じ場所に荷重をかけ続けないようにするのが現実的です。

保管中に空気圧を抜かないとどうなりますか

抜くことは基準では求められていません。JATMAが1/2程度を奨めているのは、ゴムやコードの緊張状態を和らげるためという理由です。抜かずに置いた場合でも、自然漏洩で1ヶ月あたり5%程度は下がっていきます。どちらにしても、履くときに指定空気圧へ入れ直す作業は必要です。

屋外にしか置けない場合はどうすればいいですか

基準が避けるように求めているのは直射日光と雨および水なので、遮光と防水ができるカバーを使えるかどうかが判断の分かれ目になります。ホイールを外したタイヤ単体で置く場合は、中に水や異物が入らないようにする注意も加わります。ベランダも同じ基準で見ることになります。

何年前のスタッドレスまで使えますか

年数だけでは決まりません。ブリヂストンは適正に保管された新品なら3年間は同等の性能としており、JATMAは使用開始から5年以上で点検、製造後10年で交換を奨めています。ただしJATMAは10年について、あくまで目安で使用期限ではなく、保管条件によっては前後すると明記しています。冬用タイヤの使用限度は残り溝が新品時の50%以上(プラットホームの露出)なので、年数と溝の両方で見てください。

タイヤの製造年はどこで見られますか

サイドウォールの製造番号の下4桁です。2000年以降は最初の2桁が週、最後の2桁が年を表し、「1220」なら2020年の12週目に作られたものになります。1999年以前は下3桁でした。

本記事は2026年8月時点で公開されている一次情報をもとにしています。タイヤの状態の判断は個体差が大きいため、継続して使えるかどうかの最終的な判断は、タイヤ販売店など専門の事業者にご相談ください。

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