私は2023年8月からG400dに乗っています。グレードはAMGラインで、全幅1,985mm・車両重量2,520kgという、都内で使うにはなかなか気を使う数字の車です。
「g400d タイヤ」とGoogleに打つと、最初に出てくるサジェストが「g400d タイヤサイズ」でした。3番目が「タイヤ交換」。つまりサイズを確かめて、そのまま買いに行く人の流れが見えます。
それで自分でも調べ直したのですが、カタログを何枚か並べた時点で手が止まりました。同じ型式(3DA-463350)の中に、違うサイズが並んでいるからです。
純正サイズは、グレードで3つに分かれている
先に結論を置きます。2021年1月〜2024年6月に売られていたGクラスを、グレードごとに1台ずつ見ていくと、こうなります。
| グレード | 純正タイヤ | 全幅 | 新車時価格 |
|---|---|---|---|
| G350d | 265/60R18 | 1,930mm | 1,251万円 |
| G350d AMGライン | 275/50R20 | 1,985mm | 1,291.6万円 |
| G400d | 265/60R18 | 1,930mm | 1,289万円 |
| G400d AMGライン | 275/50R20 | 1,985mm | 1,329.6万円 |
| G550 | 275/55R19 | 1,930mm | 1,705万円 |
| G550 AMGライン | 275/50R20 | 1,985mm | 1,803.2万円 |
出典はカーセンサーエッジのGクラス カタログで、グレードごとのページを1枚ずつ開いて拾いました(2026年9月17日に確認)。G400dの素グレードについてはモーターファンのカタログでも同じ265/60R18・全幅1,930mm・車両重量2,490kgが出ていたので、2系統で突き合わせています。
ここは白状しておきます。メルセデス・ベンツ日本の公式サイトはボット遮断で読めません。HTTP/2でもHTTP/1.1でも応答が返ってきませんでした。だから一次ソースがメーカー公式ではなく、カタログ2系統になっています。この記事でいちばん弱いのはここです。
それでも言えるのは、「G400dのタイヤサイズ」という問いに1つの答えは無いということ。AMGラインかどうかで18インチと20インチに分かれます。私の個体はAMGラインなので、カタログ上の標準は275/50R20の側になります。
18インチと20インチで、外径は7.8mmしか違わない
インチが2つ違えば、車の高さも変わりそうなものです。実際には変わりません。外径をそろえてあるからです。
タイヤの外径は、こう出ます。
外径の式
リム径(mm) + 断面幅 × 扁平率 × 2
1インチ=25.4mmなので、18インチ=457.2mm、19インチ=482.6mm、20インチ=508.0mmです。
当てはめると、こうなりました。
| サイズ | 計算した外径 | メーカーの記載値 |
|---|---|---|
| 265/60R18 | 457.2 + 159.0×2 = 775.2mm | 775mm(ブリヂストン) |
| 275/55R19 | 482.6 + 151.25×2 = 785.1mm | —(記載を取れず) |
| 275/50R20 | 508.0 + 137.5×2 = 783.0mm | 783mm(ブリヂストン) |
記載値のほうは、ALENZA 001 275/50R20 113W XLの商品ページに外径783mm・タイヤ幅284mm・標準リム幅8½Jと書かれていたものです。計算値とぴったり一致しました。
18インチと20インチの差は7.8mm、率にして約1.0%。3サイズ全部を並べても775.2mmから785.1mmの間に収まっていて、いちばん外径が大きいのは20インチではなく、G550の19インチでした。
ただ、この話には続きがあります。同じ265/60R18でも、商品によって外径が775mmだったり780mmだったりします。ブリヂストンのオンラインストアで同じサイズの夏タイヤを3つ開いたら、775mm・780mm・775mmと割れました。カタログ上の計算値はあくまで目安で、実物は銘柄で数ミリ動く。ここは覚えておいて損がないところです。
なお275/55R19については、ブリヂストンのオンラインストアに夏タイヤの設定が見つかりませんでした。なので785.1mmだけは計算値で、メーカーの記載値ではありません。
全幅が55mm広いのは、タイヤが太いからではない
素のG400dが1,930mm、AMGラインが1,985mm。差は55mmです。
タイヤの呼び幅は265と275で10mm違うので、左右に5mmずつ張り出す計算になります。それでも45mm足りません。
答えは表の中にありました。G550の素グレードは275/55R19、つまり275幅のタイヤを履いていて、それでも全幅は1,930mmです。275幅でも1,930mm、265幅でも1,930mm。太さは全幅の数字を動かしていないことになります。
55mmはAMGラインという仕様のほうに付いている差で、タイヤのせいではない。ここは駐車場の記事で全幅の話を細かく書いたので、そちらに任せます。都内の機械式に入るかどうかは、この55mmで決まる場面が本当にあります。
ここから車検の話。条文にタイヤの「サイズ」という語が無い
サイズを変えたら車検はどうなるのか。「ロードインデックス」で検索すると、サジェストの14語のうち3語が車検絡み(「ロードインデックス 車検」「車検 計算」「不足 許容範囲」)で出てきます。みんな同じところで止まっているわけです。
そこで検査を実際にやっている独立行政法人自動車技術総合機構(NALTEC)の審査事務規程を開きました。タイヤは「7-11、8-11 走行装置」という1本のPDFで、左に第7章(新規検査等)、右に第8章(改造等による変更のない使用過程車=車検)が並ぶ2段組になっています。
左右に分けて語を数えました。
| 語 | 7-11(新規検査等) | 8-11(車検) |
|---|---|---|
| サイズ | 0件 | 0件 |
| インチ | 0件 | 0件 |
| 外径 | 0件 | 0件 |
| 偏平 | 0件 | 0件 |
| ロードインデックス | 11件 | 0件 |
| 荷重 | 3件 | 0件 |
| 空気圧 | 38件 | 3件 |
| 溝 | 14件 | 4件 |
字数は左(第7章)が12,170字、右(第8章)が1,724字でした。ヘッダーとフッターは落としてあります。
「サイズ」も「インチ」も「外径」も、左右どちらにも1件もありません。タイヤを条文がどう呼んでいるかというと、ずっと「空気入ゴムタイヤ」です。何ミリの何インチという世界の話を、この章はしていない。
そして目を引くのがロードインデックスの 11件 → 0件です。新規検査の章には11回出てくる言葉が、車検の章には一度も出てこない。
車検の章で落ちているのは「負荷能力」の号だった
では第8章のタイヤには何が書いてあるのか。8-11-1(2)に並んでいるのは3つだけです。滑り止めの溝が1.6mm以上あること、亀裂やコード層の露出等の著しい破損がないこと、空気圧が適正であること。この3つは別の記事で1本ずつ扱っているので、ここでは繰り返しません。
問題は、その3つが引いている根拠です。8-11-1(2)の各項目には「細目告示第167条第4項第2号関係」「第3号関係」「第4号関係」と括弧書きが付いています。第2号・第3号・第4号。第1号がありません。
そこで道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第167条(走行装置)を取ってきました。全2ページ、空白を除いて1,292字。その第4項の第1号が、これです。
一 自動車の積車状態における軸重を当該軸重に係る輪数で除した値である空気入ゴムタイヤに加わる荷重は、当該空気入ゴムタイヤの負荷能力以下であること。
「タイヤにかかる荷重は、そのタイヤの負荷能力以下であること」。基準そのものは、車検側の条文にちゃんと存在します。消えているのは告示ではなく、検査官が手順として使う審査事務規程の第8章のほうでした。
第7章の側(7-11-1(3))には、この第1号に当たる項目があります。しかもその下に、負荷能力をどう算定するかが延々と書かれています。タイヤに表示されたロードインデックスに応じて別表4の値を使う。表示が無ければ日本自動車タイヤ協会(JATMA)の「空気圧-負荷能力対応表」の最大負荷能力を使ってよい。速度記号を下回る速度でしか走らない車なら別表5の変化率で補正できる——といった具合です。
このうち別表5の補正には、はっきりした除外が書いてあります。速度制限装置や速度抑制装置が付いている車などを対象にしたうえで、「専ら乗用の用に供する自動車であって乗車定員10人未満の自動車」を明文で除く。5人乗りのG400dは、この補正の対象外です。
ここで大事なことを1つ。「車検の手順書に無いから、何を履いても通る」ではありません。基準は告示第167条第4項第1号として現に存在していて、保安基準第9条第2項がその親条文です。第8章に書かれていないのは、視認による審査の項目として並んでいないという話で、基準が消滅したわけではない。ここを取り違えると、事故のときに困るのは自分です。
ロードインデックスの数字を、自分で確かめる手順
自分のタイヤが足りているかどうかは、実は紙の上で確かめられます。使う表が公開されているからです。
審査事務規程 別表4「ロードインデックスに対応する負荷能力」は、A4で1ページ、1,424字だけの表です。ロードインデックスの数字と、その数字が何kgに当たるかが並んでいます。抜き出すとこうです。
| ロードインデックス | 負荷能力 |
|---|---|
| 108 | 1,000kg |
| 110 | 1,060kg |
| 113 | 1,150kg |
| 114 | 1,180kg |
| 116 | 1,250kg |
手順は3つです。
- タイヤのサイドウォールで、サイズ表記のうしろの数字を読む(275/50R20 113W なら113)
- 別表4でkgに直す(113なら1,150kg)
- 車検証の前軸重・後軸重をその軸のタイヤの本数で割った値と比べる
たとえば前軸重が1,300kgの車なら、1本あたり650kg。ロードインデックス113のタイヤ(1,150kg)なら十分、という読み方をします。数字は車検証の個体値なので、ご自分のものを見てください。私は自分のGの軸重を公開していないので、ここは一般的な例として書いています。
そのうえで、実際に選ぶときに効いてくるのがこれです。同じサイズでも、ロードインデックスは商品ごとに違います。265/60R18で言うと、110V(1,060kg)の商品と、114S XL(1,180kg)の商品が同じ棚に並んでいます。差は120kg、4本で480kgぶん。サイズ表記だけ合わせて銘柄を選ぶと、ここを見落とします。
XLというのはエクストラロード(荷重能力強化)の意味で、同じサイズでも高い空気圧まで入れて荷重を稼ぐ規格です。2,520kgあるGのような車ほど、ここの読み方は効きます。
ホイール側は、国産車とだいぶ違う数字が並ぶ
タイヤを替えるだけでなくホイールごと替える人向けに、G400d(3DA-463350)の純正ホイールの仕様も拾っておきました。Cars Japanのホイールサイズのページから、2026年9月17日に確認した値です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ホイールサイズ | 18 × 7.5J インセット +43 |
| PCD/穴数 | 130mm/5穴 |
| ハブ径 | 84.1mm |
| 取付方式 | ボルトタイプ M14×1.5 |
| 締め付けトルク | 130N·m |
ホイールを探すときにいちばん効くのがPCDです。130mmなので、国産車で一般的な114.3mmや100mmのホイールは、そもそも穴の位置が合いません。ハブ径84.1mmも独特で、ホイール側の穴が大きい製品を使うなら、隙間を埋めるハブリングで芯を出すのが一般的なやり方です。
ハブリング(内径84.1mm用・アルミ製)
※ 私がこれを使っているという話ではなく、こういう部品があるという紹介です。適合はホイール側の実寸で決まるので、購入前に販売店で確認してください。
ボルトタイプというのも国産車と違うところです。ナットを締めるのではなく、ホイールの穴を通してハブ側のねじ穴にボルトをねじ込みます。社外ホイールはディスクの厚みが純正と違うので、純正ボルトのままだとねじ込み量が変わることがあります。
ホイールボルト(M14×1.5・メルセデス用)
※ 長さ・座面形状(テーパー/球面)はホイールごとに変わります。合わないボルトは締結そのものが危ないので、必ず取付店に見てもらってください。
正直なところ、ここまで来ると自分でやる領域ではないと思っています。締め付けトルク130N·mという数字も、勘で出せる力ではありません。
サイズを変えたときに引っかかるのは、タイヤの章ではない
ここまでを整理すると、車検でタイヤそのものに当てられるのは溝・破損・空気圧の3つです。ではサイズを変えた車が落ちるとき、どの条文で落ちているのか。別の章です。
- はみ出し … 太くしたり、オフセットを変えたりしたときに効く。回転部分の突出の話で、条文の数字は「10mm」ではありませんでした
- 最低地上高 … 外径を小さくすると下がる。9cmという数字がどこから来ているかは、思っていたより限定的でした
- 速度計の誤差 … 外径が変わるとメーターがずれる。許容の幅は上下で非対称です
外径775.2mmと783.0mmの差が7.8mm、つまり半径で3.9mmという話が効いてくるのはこのあたりです。純正の3サイズがほぼ同じ外径に揃えられているのは、たぶんそういう理由なのだろうと個人的には思っています。
ちなみにGの場合、後ろに背負っているスペアタイヤにも別の論点があります。あれを外すかどうかは、タイヤの規格ではなく車検証の「長さ」の問題でした。
履き替えるときに、私がやったこと
サイズが決まったら、次は買う話になります。
前の車(Mercedes-AMG C43)のときの話を書いておくと、前輪2本の交換をディーラーで見積もったら約16万円でした。ネットでタイヤを買って近所の整備工場に持ち込んだら、2本で6万円。差額10万円です。
ただ、あのやり方は段取りが全部こちら持ちでした。ショップを探して、工場に電話して、日程を合わせて、届いたタイヤを運ぶ。新車保証の期間中で、点検類はディーラーに任せていた時期です。タイヤだけ外に出したのは、差額が10万円と大きかったからでした。
ついでに書いておくと、そのときの見積書は内訳を残していません。手元にあるのは総額だけで、タイヤ代と工賃の比率は、いまでも分からないままです。
その手間ごと1画面で済ませたいなら、タイヤの購入と取付店の予約がつながっているサービスを使う手があります。サイズで検索して、近くの取付店を選んで、日付を押さえるところまで一度に進みます。
TIREHOOD(タイヤフッド)
タイヤを買うところと、取り付けてもらう店の予約が1つの画面でつながっているサービスです。サイズが決まっていれば、あとは銘柄と日程を選ぶ作業になります。選ぶときは、サイズ表記のうしろに付いている数字(110・113・114など)を、上の別表4と突き合わせてから決めてください。
※ 取扱銘柄・価格・工賃・取付店の対応可否は変動します。上に書いたとおり、私が交換したときに使ったのはこのサービスではなく、自分でネットで買って整備工場に持ち込む形でした(C43のとき)。2026年9月時点。
車検の費用そのものについては、輸入車の実額をまとめた記事があります。タイヤ交換と車検を同じタイミングでやるかどうかは、けっこう悩みどころです。
よくある質問
G400dの純正タイヤサイズは結局どれですか
グレードによります。素のG400dが265/60R18、AMGラインが275/50R20です(2021年5月〜2024年6月のモデル)。同じGクラスでもG550の素グレードは275/55R19で、3種類が併存しています。自分の車がどれかは、サイドウォールの表記を読むのがいちばん確実です。
インチダウンして18インチにしても車検は通りますか
「通る/通らない」を条文から断定することはできません。審査事務規程の走行装置の章(8-11)には、サイズもインチも外径も1件も書かれていないからです。一方で、はみ出し・最低地上高・速度計の誤差はそれぞれ別の章で審査されるので、そちらに引っかかれば落ちます。純正で設定のあるサイズに戻す形なら、外径の差は10mm以内に収まります。
ロードインデックスが純正より低いタイヤを履いたらどうなりますか
細目告示第167条第4項第1号が「タイヤに加わる荷重は負荷能力以下であること」と定めています。これは使用の過程にある車に当たる条文です。審査事務規程の第8章には対応する審査項目が置かれていませんが、基準そのものは存在します。軸重÷輪数と別表4の値を比べて、足りているかを先に確認してください。
275/50R20と265/60R18では、メーターの表示は変わりますか
外径が783.0mmと775.2mm、差は7.8mmです。率にすると約1.0%なので、たとえば時速100km表示のときに1km/h前後の差に相当する計算になります。車検の速度計の基準には許容幅があるので、この程度の差で直ちに問題になる数字ではありません。ただ実際の判定は個体のメーター特性を含むので、気になるなら計測してもらうのが早いです。
タイヤの外径はカタログの計算どおりになりますか
ぴったりにはなりません。同じ265/60R18でも、商品ページの外径が775mmのものと780mmのものがありました。計算式は目安で、実物は銘柄で数ミリ動きます。
—
※ 本記事の数値は2026年9月17日時点で各一次資料から取得したものです。審査事務規程および細目告示は改正されます。車両のグレード別スペックはメルセデス・ベンツ日本の公式サイトが取得できなかったため、カーセンサーエッジおよびモーターファンのカタログ、Cars Japanのホイールサイズ資料を出典としています。タイヤの外径・ロードインデックスは商品によって異なります。本記事は情報提供を目的としており、特定の商品の勧誘を目的とするものではありません。実際の適合可否・車検の合否については、指定工場・認証工場または運輸支局にご確認ください。










