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スタッドレスはいつから履くのか。東京の11月に雪が降る日は、平年値でゼロだった

雪に覆われた山道。轍が残る路面と、雪の斜面に立つ黄色いポール Car|車
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年に何度か、東京から群馬・新潟・福島・長野あたりへスノボやスキーで往復します。C43に乗っていたころは、スノーボードセット×2、スキーセット×1、3名分の着替えを積んで出かけていました。

C43のときは布製のチェーンで済ませていたのですが、そのたびに引っかかるのがいつから雪の装備に切り替えるのかでした。調べると出てくるのは「11月頃から」「気温7℃以下になったら」の2つ。ただ、その数字がどこから来たのかを辿ろうとすると、たどり着くのはタイヤ販売店とカー用品店の記事ばかりで、公的な根拠が見当たりませんでした。

一方で、気象庁は各地点の平年値を公開しています。月ごとの日最低気温と、雪が降った日数まで出ている。 行き先が決まっているなら、そちらを見たほうが早いはずです。

冬用タイヤ規制とチェーン規制の中身は上の記事で条文まで確かめたので、ここでは繰り返しません。ここで扱うのは「いつ」だけです。

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法令には「何月から」も「何℃から」も書かれていない

先に前提をひとつ。滑り止めの義務は、都道府県の道路交通法施行細則が定めていますが、そこに書かれている条件は「積雪又は凍結している道路において」という状態です。

月でも気温でもありません。降っていない日には義務がかからず、降った日には11月でも4月でも同じようにかかる。 ここは前の記事で各県の条文を並べて確認したところです。

つまり「いつから履くか」は法律が決めてくれる話ではなく、行き先で雪や凍結に当たる確率が、いつから上がるのかを自分で見積もる話になります。そして、その見積もりに使える公開データが平年値です。

気象庁の平年値を、行き先ごとに並べてみる

出典は気象庁「過去の気象データ検索」の平年値(年・月ごとの値)で、統計期間は1991〜2020年、資料年数30年です。地点は、私が実際に行く群馬・新潟・福島・長野と、比較用の東京・日光・軽井沢を取りました。

左が日最低気温の平年値(℃)、右が雪日数の平年値(日)です。

地点 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月
東京 14.8 / 0.0 8.8 / 0.0 3.8 / 0.6 1.2 / 2.8 2.1 / 3.5 5.0 / 1.4 9.8 / 0.1
前橋 13.2 / 0.0 6.9 / 0.2 1.9 / 4.2 −0.5 / 7.6 0.0 / 7.9 3.1 / 5.6 8.2 / 0.5
軽井沢 6.3 / 0.1 −0.2 / 3.2 −5.3 / 15.7 −8.2 / 20.2 −8.0 / 17.5 −4.5 / 15.4 0.6 / 4.8
日光 5.7 / 0.8 0.2 / 8.3 −4.9 / 21.1 −7.9 / 24.7 −7.8 / 21.2 −4.6 / 20.8 0.2 / 8.4
長野 10.3 / 0.0 3.4 / 3.6 −1.5 / 19.0 −3.9 / 24.0 −3.7 / 20.1 −0.5 / 15.6 4.9 / 3.2
新潟 12.8 / 0.0 6.9 / 2.7 2.4 / 19.5 0.1 / 26.8 −0.1 / 23.5 2.4 / 15.8 7.0 / 2.3
福島 11.7 / 0.0 5.2 / 3.3 0.7 / 18.3 −1.5 / 25.4 −1.2 / 21.3 1.3 / 15.9 6.4 / 2.8
会津若松 9.8 / 0.1 3.3 / 7.0 −0.9 / 22.4 −3.4 / 27.6 −3.5 / 23.8 −0.7 / 17.5 4.3 / 4.1

出典: 気象庁「過去の気象データ検索 平年値(年・月ごとの値)」(統計期間1991〜2020年。地点ごとに `prec_no` と `block_no` を変えて取得。2026年8月時点)

ひとつ断っておくと、サジェストによく出てくる箱根と那須は、この表に入れていません。 同名の地上気象観測地点が見当たらなかったためです。近い地点で代用することもできますが、標高がまるで違うので、それをやると数字の意味がなくなります。

「11月から」は、たぶん誰かの東京の感覚だった

表の東京の行を見てください。11月の雪日数は 0.0日。12月でも 0.6日です。

つまり都内をふだん走るだけなら、11月に履き替える理由は平年値からは出てきません。私も走っているのはほぼ都内なので、この行が自分の生活に一番近い数字ということになります。

一方で同じ月の行き先側を見ると、話がまったく変わります。

  • 軽井沢は11月の時点で、日最低気温の平年値が −0.2℃。雪日数は 3.2日
  • 日光は11月に 8.3日。10月ですら 0.8日ある
  • 会津若松は11月に 7.0日

「関東は12月から」のような都道府県単位のまとめが効かないのは、ここです。日光も東京も関東ですが、11月の雪日数は 8.3日 と 0.0日 で、8日ぶん違います。

じゃあ何月なのかというと、行き先で決まるとしか言えません。自分の行き先の数字を見て、雪日数が1日を超え始める月のひとつ前に用意しておく、というのが表から引ける現実的な線だと思います。日光や軽井沢へ行くなら10月中、長野・新潟・福島なら11月のうち、というくらいの感覚になります。

交換そのものの費用は別記事に実額を書きました。ディーラーで16万円だったものが、持ち込みで6万円になった話です。時期を決めたら、次はどこで替えるかの問題になります。

「気温7℃以下」の出どころは、結局分からなかった

もうひとつの目安、「気温7℃を下回ったらスタッドレス」。これも探しました。

出てくるのはタイヤメーカーと販売店の説明で、公的機関がその数字を示している資料は見つけられませんでした。 ゴムが硬くなり始める温度としての説明はあちこちに書かれていますが、根拠となる試験条件まで公開しているものには行き当たっていません。

なので、温度のしきい値はこちらからは出しません。 代わりに表の左側(日最低気温)を見てもらったほうが確実だと思っています。たとえば東京は、1月でも日最低気温の平年値が 1.2℃で氷点下になりません。前橋は1月に −0.5℃。軽井沢は12月の時点で −5.3℃です。

この差は「7℃を下回ったか」では表現できません。 同じ「下回った」でも、東京の 1.2℃ と軽井沢の −8.2℃ では、路面で起きることが違います。

外すときのほうが、ずれが大きい

ここがいちばん書きたかったところです。履く時期より、外す時期のほうが危ない。

表の3月の列を見ると、東京は 1.4日。もうほとんど降りません。ところが同じ3月に、

  • 日光 20.8日
  • 会津若松 17.5日
  • 新潟 15.8日/福島 15.9日/長野 15.6日/軽井沢 15.4日

さらに 4月でも日光は 8.4日、軽井沢は 4.8日 あります。

東京の街路樹を見て「もう春だな」と思って外したあと、同じ月にスキーの締めくくりへ行く。これが一番ずれる場面だと思います。履くときは天気予報を気にしているのに、外すときは気にしていないことが多い。

3月・4月に板を積んで出かける予定があるなら、外すのはその予定が終わってからにしたほうが、表を見るかぎり無難です。

外したタイヤは、次のシーズンまで置いておくことになります。直射日光と雨が当たる場所に転がしておくと、履く前の状態が読めなくなるので、カバーくらいはかけておきたいところです。

タイヤの保管カバー

※ ホイール付きで平置きするか、タイヤ単体で立てるかで必要なサイズが変わります。インチ数を確認してから選んでください。2026年8月時点。

履かずに行く、という選択肢の限界

年に1〜2回しか雪の道を走らないなら、布製のチェーンという手もあります。C43のときに実際に使いました。

ただ、これは冬用タイヤ規制のときには通れても、チェーン規制のときには別の扱いになるという話が絡みます。そこは条文まで確認して別記事に書いたので、そちらを読んでください。

もうひとつ、表の数字から言えることがあります。日光や会津若松のように12月〜3月の雪日数が20日前後ある地点へ、シーズン中に何度も行くなら、着け外しの回数が現実的でなくなります。 布製チェーンは長時間の駐車では一度外すことが前提の道具なので、宿に着くたびに着脱することになる。年に何度も行くならスタッドレスのほうが素直だと思います。

なお「4WDだから大丈夫」にはなりません。今乗っているG400dは四輪駆動で車重2,520kgですが、止まる性能はタイヤが決めます。 重い車ほど不利になる場面もあります。

出発の朝に足りなくなるもの

時期の話からは少し外れますが、表の左側(日最低気温)が氷点下の地点に泊まると、翌朝ほぼ確実にフロントガラスが凍ります。軽井沢の12月は −5.3℃、日光は −4.9℃、長野は −1.5℃。平年値でこれなので、当たり前に凍る側です。

お湯をかけるのはガラスに悪いので、解氷スプレーとブラシを積んでおくと朝が楽になります。宿の駐車場で借りられることもありますが、当てにできる前提ではありません。

解氷スプレー

※ ガラスの内側の曇りには効きません。撥水コーティングとの相性が悪い製品もあるため、表示を確認してください。2026年8月時点。

スノーブラシ(雪下ろし・スクレーパー付き)

※ 塗装面をこすると傷になります。ボディの雪はブラシ側で払い、ガラスの氷だけスクレーパーで落とすのが基本です。2026年8月時点。

結局どう決めるか

表を見たうえで、私が引いた線はこうです。

  • 行き先の雪日数が「1日」を超え始める月の、ひとつ前までに用意する
  • 外すのは、行き先の3月・4月の数字を見てから決める(東京の景色で決めない)
  • 温度のしきい値は使わない。 一次情報に根拠が見当たらないので、日最低気温の平年値そのものを見る
  • 都道府県でまとめない。 日光と東京は同じ関東で、11月の雪日数が 8.3日 と 0.0日 違う

平年値は「毎年そうなる」という意味ではありません。30年ぶんの平均なので、暖冬の年も大雪の年もこの中に混ざっています。あくまで準備を始める月を決めるための物差しとして使うものだと思っています。

よくある質問

スタッドレスを履いていれば、どんな規制でも通れますか

通れません。冬用タイヤ規制とチェーン規制は別のもので、チェーン規制のときはスタッドレスでもチェーンが要ります。条文と規制区間は別記事で確認しています。

東京に住んでいて、雪の日に走らないなら履かなくていいですか

法令上の義務は「積雪又は凍結している道路において」という状態にかかるので、積もっても凍ってもいない道路であれば義務はかかりません。ただし平年値でも東京は1月に 2.8日、2月に 3.5日の雪日数があります。降った日に走る予定があるなら、都内でも同じ義務がかかります。

箱根や那須の数字は分かりますか

今回の表には入れていません。同じ名前の地上気象観測地点が見当たらなかったためです。近隣の地点で代用する手もありますが、標高が違うと雪日数が大きく変わるので、それをやると数字の意味がなくなります。気象庁の検索ページで、実際に通る道に近い地点を選んで見るのが確実です。

4WDならスタッドレスは要りませんか

要ります。四輪駆動が効くのは発進と登坂で、止まる性能はタイヤ側で決まります。 今乗っているG400dは四輪駆動で車重2,520kgですが、重いぶん止めるのは難しくなります。

3月に外しても大丈夫ですか

行き先次第です。東京は3月の雪日数が 1.4日ですが、日光は 20.8日、会津若松は 17.5日あります。4月でも日光は 8.4日。 春に山側へ行く予定が残っているなら、その予定が終わってからのほうが表の上では無難です。

最後に

調べていて意外だったのは、「いつから」に答えている一次情報が、実は気象の側にしか無いことでした。法令は状態しか書いていないし、温度の目安は出どころが辿れない。残るのは、行き先で何日雪が降るかという実測の平均だけです。

そして表を作ってみて、いちばん抜けやすいのは外す側だと思いました。履くほうは天気予報を見て慎重になるのに、外すほうは手元の陽気で決めてしまう。日光の4月に 8.4日という数字は、正直ちょっと意外でした。

※ 数値はすべて気象庁の平年値(統計期間1991〜2020年・資料年数30年)で、2026年8月時点に取得したものです。実際の降雪は年によって大きく変わります。走行前には最新の気象情報と道路情報を確認してください。

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※ 条件は各公式サイトの最新情報をご確認ください。