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チェーン規制は、スタッドレスを履いていても通れない|冬用タイヤ規制との違いを条文で確かめた

雪に覆われた道路。冬用タイヤ規制とチェーン規制の違いを解説する記事のアイキャッチ Car|車
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C43に乗っていたころ、スノボ遠征でスノーボードセット×2・スキーセット×1・3名分の着替えを積んだことがあります。いまはG400dで、走っているのはほぼ都内です。

よく言われるのが「冬用タイヤを履いていれば冬は大丈夫」ですが、これは半分だけ正しくて、半分は間違っています。冬の通行規制には冬用タイヤ規制チェーン規制の2種類があって、後者はスタッドレスを履いていても通れません。

先に断っておくと、ここで書けるのは制度の側が中心です。規制区間のチェーンチェックを受けた体験談は出てきません(布製チェーンで雪道を走った話は後半に出てきます)。そのかわり、根拠になっている条文と公的資料を全部開いて、どこに何が書いてあるのかを確かめました。調べてみて一番意外だったのは、道路交通法の本文に「スタッドレス」も「チェーン」も一言も書かれていないことでした。

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2つの規制は、そもそも誰が出しているのかが違う

まず整理から。この2つは「厳しさの段階」ではなく、根拠と出す主体が別です。

冬用タイヤ規制 チェーン規制
通行できる条件 駆動輪にチェーン、または全車輪に冬用タイヤ チェーンの装着が必須
スタッドレスだけ 通行できる 通行できない
根拠 道路交通法71条6号 →都道府県公安委員会が定める事項 道路交通法4〜6条・道路法46条など。道路管理者が区間を指定
かかる範囲 都道府県の区域全体(積雪・凍結している道路) あらかじめ指定された特定の区間だけ

出典: タイヤ公正取引協議会「冬のタイヤの滑り止めルールって?」NEXCO中日本「冬場に高速道路を走行する場合の注意点は?」(いずれも2026年8月時点)。

タイヤ公正取引協議会の書き方が一番はっきりしています。冬用タイヤ規制は「駆動輪、つまりエンジンの力がかかるタイヤにチェーンをつけるか、全車輪に冬用タイヤを着けていれば通行できる」。チェーン規制は「文字通りチェーンを着けていないと通行できない」。

ここで引っかかりやすいのが、冬用タイヤ規制のほうが日常的で、チェーン規制は例外的という点です。年に何度も出るのは前者で、後者は後述のとおり「異例の降雪」のときにしか出ません。だから多くの人が冬用タイヤ規制だけを経験していて、チェーン規制という別物があることを知らないままスタッドレスを信頼している、という構図になります。

道路交通法を開いても「スタッドレス」は出てこない

冬用タイヤ規制の根拠は道路交通法71条6号です。運転者の遵守事項を並べた条文で、1号から5号の5までは泥はねや駐車時の措置など具体的な話が続きます。その最後に来るのが6号です。

前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項

出典: e-Gov法令検索「道路交通法」第71条第6号(2026年8月時点)

これだけです。雪の話も、タイヤの話も、一切出てきません。「公安委員会が決めた事項を守れ」と書いてあるだけで、中身は法律の外に置かれています。

罰則は同じ法律の120条にあります。1項の柱書きは「次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する」で、その10号に71条6号が列挙されています。ノーマルタイヤで雪道を走ったときの罰は5万円以下の罰金、という筋道はここから来ています。

法律が決めているのは「公安委員会の決めたことを守れ」と「破ったら5万円以下」の2点だけ。何を履けばいいのかは、47都道府県がそれぞれ書いています。

自動車税の記事や経費の記事を書いたときも同じ構造にぶつかりました。国の条文は枠だけを決めて、具体的な線引きは下位のルールや運用に投げている。読む側からすると、条文まで戻ると逆に何も分からなくなるという妙な感覚があります。

同じ「滑り止め」が、県境を越えると別の言葉になる

では公安委員会は何と書いているのか。国土交通省中部地方整備局の三重河川国道事務所が、都道府県ごとの規定を一覧にして公開しています。中部5県ぶんを原文のまま並べます。

条番号 規定の文言
長野県 施行細則 14条2号 「タイヤ・チェーン又は防滑タイヤ(滑り止めの性能を有するタイヤをいう。)を用いる等滑り止めの処置を講ずること。この場合、タイヤ・チェーンを用いるときは両側の後輪(前輪駆動により走行するものは前輪)、防滑タイヤを用いるときは全輪とすること。」
静岡県 施行細則 9条1号 「タイヤに鎖を巻くか、又は雪上用タイヤを用いる等して、すべり止めの措置を講ずること。」
岐阜県 施行規則 12条4号 タイヤにチェーンを取り付ける等すべり止めの措置を講ずること。」
愛知県 施行細則 7条5号 「積雪又は凍結のため滑るおそれのある道路において…タイヤ・チェーンを取り付ける等滑止めの措置を講ずること。」
三重県 施行細則 16条5号 「タイヤチェーン、スノータイヤその他の有効なすべり止めの措置を講じないで…運転しないこと。」

出典: 国土交通省中部地方整備局 三重河川国道事務所「都道府県道路交通法施行細則又は道路交通規則における積雪、凍結時の防滑措置」(2026年8月時点)。いずれも自動車(二輪のものを除く)が対象。

同じことを言おうとしているのに、使っている名詞が「防滑タイヤ」「雪上用タイヤ」「スノータイヤ」と3種類に分かれています。岐阜県はタイヤの側に触れず「チェーンを取り付ける等」だけ。愛知県は「積雪又は凍結のため滑るおそれのある道路」で、実際に積もっていなくても対象になる書き方です。

読み比べて一番実用的だと思ったのは長野県で、チェーンなら後輪(前輪駆動なら前輪)、タイヤなら全輪と装着位置まで指定しています。「チェーンは駆動輪に」というよく見る説明の出どころは、この種の条文です。

そして、ここが個人的に一番気になった点なのですが、どの県の条文にも四輪駆動の例外は出てきません。私のG400dは4WDで車両重量2,520kgですが、条文の側から見れば四輪駆動であることは何の免除にもなりません。雪に強い車ほど「これなら行けるだろう」と思いやすいので、ここは覚えておいたほうがいいと思います。

チェーン規制は「異例の降雪」のときだけ、決まった区間に出る

チェーン規制のほうは、都道府県単位ではなく区間単位です。国土交通省が区間をあらかじめ指定していて、実施のタイミングもページに書かれています。

大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに行います

出典: 国土交通省「道路:雪防災(タイヤチェーン装着)」(2026年8月時点)

趣旨は「通さないため」ではなく逆で、通行止めにするような状況でも、チェーンを着けていれば通せるようにするためのものです。同ページには「積雪による通行止め時間を短くすることを目指します」と書かれています。つまりチェーン規制は、通行止めより一段ゆるい選択肢として用意されています。

指定区間は直轄国道と高速道路に分かれています。関東・中部から雪山へ向かうときに関係しそうなところだけ挙げます。

道路 区間 都道府県 延長
上信越道 信濃町IC〜新井PA(上り線) 新潟県・長野県 24.5km
中央道 須玉IC〜長坂IC 山梨県 8.7km
中央道 飯田山本IC〜園原IC 長野県 9.6km
国道138号ほか(山中湖・須走) 山中湖村平野〜小山町須走 山梨県・静岡県 8.2km

出典: 前掲の国土交通省「道路:雪防災」(2026年8月時点)。これは全区間ではありません。北陸道・米子道・浜田道や月山道路など、ほかにも指定区間があります。全体は上のリンク先で確認してください。

正直に書くと、この一覧をきちんと数え切れませんでした。国交省のページは直轄国道と高速道路で表が分かれていて、こちらで読み取れた高速道路の区間名と見出しの箇条数が噛み合いません。なので合計何区間かは書きません。 出発前に一次ソースを見てもらうのが確実です。

規制が出るかどうかは前日〜当日にしか分かりません。中央道の須玉〜長坂は8.7kmで、スキー場に向かう定番のルート上にあります。8.7kmのためにチェーンを積むかどうかが判断の分かれ目になります。

オールシーズンタイヤは、マークが刻まれているかで扱いが変わる

サジェストに「冬用タイヤ規制 オールシーズンタイヤ」「冬用タイヤ規制 m+s」が並ぶくらい、ここは混乱しています。高速道路会社の書き方を2社ぶん見てみると、微妙に違いました。

NEXCO西日本は、冬用タイヤとして使えるものを列挙するなかで、オールシーズンタイヤについてこう書いています。

スノーフレークマークが表示されているタイヤを全車輪に装着してください

出典: NEXCO西日本「冬用タイヤ」(2026年8月時点)

一方でNEXCO中日本は、M+S表記のタイヤについて「ある程度までは積雪路面にも対応可能ですが、冬用タイヤに比べ制動性能が劣るため、降雪状況によっては走行できない場合があります」と注記しています。

同じ制度の説明なのに、片方は「マーク付きを全輪に」と条件を示し、片方は「走行できない場合がある」と含みを残す。この差がそのまま現場の判断幅だと考えたほうがいいと思います。

タイヤ 側面の表示 冬用タイヤ規制での扱い
スタッドレスタイヤ STUDLESS 全車輪に装着で通行できる
スノータイヤ SNOW 全車輪に装着で通行できる
オールシーズンタイヤ スノーフレークマーク(3PMSF)あり NEXCO西日本は全車輪への装着を案内
オールシーズンタイヤ M+S / M.S / M&S / M/S だけ 降雪状況によっては走行できない場合がある(NEXCO中日本)
ノーマルタイヤ チェーンを装着しないと通行できない

出典: 前掲のNEXCO西日本「冬用タイヤ」およびNEXCO中日本のFAQ(いずれも2026年8月時点)。

ここがこの記事で一番言いたかったところです。「オールシーズンだから冬用タイヤ扱いでしょう」ではなく、自分のタイヤの側面を実際に見て、雪の結晶のマークがあるかどうかを確かめるのが先です。M+Sという表記があること自体は、NEXCO西日本が案内しているスノーフレークマークの代わりにはなりません。2つは別の表示で、どちらが付いているかで高速道路会社の書き方が変わっています。

布製チェーンを「使える」と言い切っている資料は見つからなかった

「チェーン規制 布チェーン」「チェーン規制 スノーソックス」も検索されています。ここは資料によって温度差があって、断定できませんでした。

  • 国土交通省が2018年に規制区間を指定した際、布製チェーンが使用できるチェーンの種類として記載されたとする説明が複数あります
  • 一方でJAFは、布製カバータイプを「緊急時の脱出用という位置づけの製品」と説明し、「チェーン規制時には現場係官の指示に従うべき」と注意を添えています
  • 非金属(ウレタン・ゴム)チェーンについては、JAFがJASAA(一般財団法人 日本自動車交通安全用品協会)の認定品を挙げています。実車走行試験で性能が確認された製品という位置づけです

出典: JAF「高速道路の冬用タイヤ規制・チェーン規制はどんなチェーンでも対応できる?」(2026年8月時点)。JASAAの公式サイトはこちらの環境から参照できなかったため、認定についてはJAFの記述を出典にしています。

まとめると、金属とウレタン・ゴムは問題が起きにくく、布製はグレーが残るという状況です。規制区間の手前ではチェーンチェックが行われ、未装着と判断されればスタッドレスを履いていても通れません。その場で判断するのは係官なので、確実に通りたい日に布製だけを積んでいくのは、賭けの要素が残ります。

装備として置いておくなら、非金属の認定品が無難です。ジャッキアップなしで付けられるタイプが増えていて、収納も金属より扱いやすい。

非金属タイヤチェーン(JASAA認定品・ジャッキアップ不要タイプ)

※ 適合サイズは車ごとに違います。車検証とタイヤ側面のサイズ表記を確認してから購入してください。2026年8月時点。

布製のほうは、実際に取り付けたことがあります。C43にISSEのスノーソックスを付けました。タイヤは255/35ZR19で、AWDでも約70%が後輪駆動なので、付けたのは後輪です。タイヤハウスが狭く、男性だと腕が奥まで入らないので、取り付けは正直けっこう大変でした。

ここが長野県の条文と繋がるところで、細則は「チェーンを用いるときは両側の後輪(前輪駆動により走行するものは前輪)」と書いています。条文が言う「駆動輪」が自分の車ではどこなのかは、四輪駆動だと一度考える必要があります。私のC43はAWDでしたが、駆動配分から後輪に付けました。

そのときの取り付けの実際と、メリット・デメリット(舗装路には向かない、破ける心配がある、長時間駐車するときは一度外す)は、こちらに書いてあります。

ただ、それは「雪道を走る」ための道具としての話です。チェーン規制での確実性という点では上の非金属に劣ります。規制を確実に通ることが目的なら別、というふうに使い分けたほうがいいと思います。

溝が残っていても、半分を切ったら冬用タイヤとして数えない

規制を気にする前に足元の話をひとつ。冬用タイヤには、スリップサインで見る通常の使用限度とは別の基準があります。

日本自動車タイヤ協会(JATMA)は、積雪路・凍結路を走る場合について「冬用タイヤの残り溝深さが新品時の50%以上あることを確認してください」と書いています。判定はタイヤに用意されたプラットホームの露出でもできます。

出典: 一般社団法人 日本自動車タイヤ協会「冬道走行とタイヤ」(2026年8月時点)

つまり、まだスリップサインが出ていないスタッドレスでも、残り溝が新品時の半分を切っていれば冬タイヤとしては終わっているという扱いになります。3〜4シーズン使ったものを「まだ溝あるし」で持っていくと、規制はクリアしても止まらない、という順番の話です。

C43のとき、冬場はタイヤが硬くなる影響で、コールドスタート直後にハンドルを最大まで切るとフロントタイヤから「ガガガ」という音と軽い横滑りが出ていました。ミシュラン Pilot Sport 4 に交換してからはほぼ解消しました。ゴムの状態が挙動にそのまま出た例だと思います。冬用タイヤの経年劣化はもっと露骨に出るはずです。

出発前に確認する順番を決めておくと早い

規制の話をひととおり並べたので、動く側の順番に整理しておきます。

1. 自分のタイヤの側面を見る。 STUDLESS か SNOW か、スノーフレークマークか、M+Sだけか

2. 残り溝が新品時の50%以上あるか(プラットホームが出ていないか)

3. 通るルートにチェーン規制の指定区間が含まれるかを、国交省の一覧で確認する

4. 含まれるなら、チェーンを積む。含まれなくても、目的地の県の細則は冬用タイヤか駆動輪チェーンを求めている

5. 屋根とタイヤハウスの雪を落とす、早めに給油する、キャリアの取付を確認する(NEXCO中日本が挙げている注意点)

4番目まで来て「そもそもスタッドレスに履き替えるといくらかかるのか」で止まる人が多いと思います。私の場合、ディーラー見積りで2本約16万円だったものが、ネットで銘柄指定購入+近所の整備工場での持ち込み交換で2本6万円になりました。この差の中身は別記事に書いています。

積載側の話もこの季節に絡みます。スノーボードを車内に収めるか、ルーフに載せるかで、載せ方も高さ制限との付き合い方も変わります。

C43で3人ぶんの道具を積んだときの積載の実際は、こちらに書いてあります。

よくある質問

Q. 四輪駆動なら冬用タイヤ規制は免除されますか

免除されません。上で引用した5県の条文を読むかぎり、四輪駆動を例外にしている記述はどこにもありません。長野県の細則が触れているのは「チェーンを使うときは後輪(前輪駆動なら前輪)」という装着位置の話で、駆動方式によって義務がなくなるという話ではありません。

Q. スタッドレスにチェーンを足せば、チェーン規制の区間も通れますか

チェーン規制で求められているのはチェーンの装着なので、その条件は満たすことになります。ただし装着する車輪の指定は道路や県によって異なり、NEXCO中日本は冬用タイヤ規制のチェーンについて「駆動輪への装着が必要(一部県では全車輪)」と書いています。現場の指示に従うのが前提です。

Q. ノーマルタイヤにチェーンだけで、冬用タイヤ規制の区間は通れますか

タイヤ公正取引協議会の説明では、冬用タイヤ規制は「駆動輪にチェーンをつけるか、全車輪に冬用タイヤ」で通行できるとされています。制度上はチェーンだけでも条件を満たす形です。ただしチェーンを着けた状態では速度も乗り心地も大きく落ちるので、雪道を走る前提の移動でこれを常用するのは現実的ではないと思います。

Q. 規制が出ているかどうかは、どこで分かりますか

チェーン規制は「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるとき」に実施されるもので、事前に何日も前から分かるものではありません。国交省の指定区間を出発前に把握しておき、当日の道路交通情報で実施状況を確認する、という二段構えになります。

Q. 都内をふだん走るだけなら、冬用タイヤは要らないですか

積雪も凍結もしていない道路であれば、細則が求める滑り止めの義務はかかりません。私も走っているのはほぼ都内です。ただし条文は「積雪又は凍結している道路において」という状態を条件にしているので、降った日に走るなら都内でも同じ義務がかかります。愛知県のように「滑るおそれのある道路」と広く書いている県もあります。

本記事は2026年8月時点で公開されている法令・公的資料をもとにまとめたものです。規制の実施状況と指定区間は変わります。出発前に国土交通省・各高速道路会社・日本道路交通情報センターの最新情報を必ず確認してください。

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※ 条件は各公式サイトの最新情報をご確認ください。